あきれた着服事案。北九州市の放課後児童クラブ(学童保育所)事務局長が1033万円を懐にしていたと報道。業界は公開して再出発せよ。
放課後児童クラブ(いわゆる学童保育所)運営者をサポートする「運営支援」を行っている「あい和学童クラブ運営法人」代表の萩原和也です。放課後児童クラブを舞台に、新人職員の苦闘と成長、保護者の子育ての現実を描く、成長ストーリーであり人間ドラマ小説「がくどう、 序」を書きました。アマゾンで発売中です。ぜひ手に取ってみてください! (https://amzn.asia/d/3r2KIzc) お読みいただけたら、アマゾンの販売ページに星を付けていただけますでしょうか。そして感想をネットやSNSに投稿してください! 最終目標は映像化です。学童の世界をもっと世間に知らせたい、それだけが願いです。口コミ、拡散だけが頼みです!
福岡県北九州市の放課後児童クラブで、事務局長だった人物が運営費1033万円を着服していたとメディアが一斉に報道しました。児童クラブ業界の評判を落とす事案であり、運営支援は重大に受け止めています。当該非違行為を行った本人が最も悪いことは言うまでもありませんが、運営支援としては、分かりやすい着服事案を防げなかった組織や委託側の対応や感覚もまた、厳しく批判したいのです。
(※基本的に運営支援ブログでは、学童保育所について「放課後児童クラブ」(略して児童クラブ、クラブ)と記載しています。放課後児童クラブはおおむね学童保育所と同じです。)
<報道から>
運営費の着服事案という残念過ぎる内容。額も1,000万円超と決して少額ではないので報道されて当然の事案でしょう。いくつかの報道記事を引用して紹介します。
NHKの「北九州 NEWS WEB」2025年6月18日18時31分配信の「北九州市“放課後児童クラブ元事務局長が1000万円着服”」という見出しの記事から。
「北九州市は、若松区の放課後児童クラブの元事務局長が昨年度までの5年間に、合わせておよそ1000万円の運営費を着服していたと発表しました。」
「放課後児童クラブは、市が地域団体などに運営を委託していて、ことし1月、市が定例の監査を行おうとしたことをきっかけに不正な経理処理が発覚したということです。」
「クラブ側は警察に被害届を出していて、18日夜、保護者を集めて経緯を説明することにしています。」
「市は今後、各クラブの代表者を集め、会計や監査事務を適正に行うよう指導する方針です」
(引用ここまで)
ヤフーニュースに6月18日17時54分に配信された、FBS福岡放送の「放課後児童クラブの元事務局長が「着服」5年で1000万円超「二重帳簿」と「虚偽の決算書」使い道は? 分割返済を申し出る 北九州市」との見出しの記事です。
「元事務局長は勤務実態のない人へ給与を支払ったように装うなど、5年間にわたって二重に帳簿を作成し、市に対して虚偽の決算書を提出していました。」
「クラブはことし4月、警察に被害届を提出しています。」
(引用ここまで)
ヤフーニュースに6月18日18時43分に配信された、毎日新聞の「放課後児童クラブの運営費1000万円を着服 元事務局長 北九州」との見出しの記事です。
「市によると、男性は勤務実態のない職員への給料支払いを装うなどしてその差額を着服した。二重に帳簿を作成し、市へ虚偽の決算書類を提出。着服した金は飲食や衣服の購入などに充てていた。」
「市は1月、5年に1度の定例監査を予定。すると男性は「クラブに空き巣が入り書類などが盗まれた」と主張してきた。市が決算書類を確認するなどした結果、着服の事実が発覚した。男性は2003年から事務局長を務め、クラブでは男性だけで経理事務を担当。このため会計監査も形骸化していたという。」
(引用ここまで)
最後に、これもヤフーニュースに6月19日8時54分に配信された、読売新聞オンラインの「放課後児童クラブの運営費1033万円着服…「二重帳簿」作成、監査にも「空き巣に書類盗まれた」」との見出しの記事です。
「北九州市は18日、若松区の放課後児童クラブ(学童保育)の運営を委託している団体の元事務局長の60歳代男性(今年3月に退職)が運営費の不正経理を行い、約1033万円を着服していたと発表した。」
「市によると、男性は2003年度からクラブの運営委員会事務局長を務め、20~24年度の5年間に二重帳簿を作成。市に提出する決算書で指導員の給与を水増ししたり、勤務実態のない人への給与を支給したように装ったりするなどし、年間約142万~310万円を着服していた。書類の保存期間が5年間で、それ以前の不正行為の有無は確認できていない。」
「返還の求めに対し、分割での返還を申し出て、これまでに170万円を返したという。運営委は4月25日に若松署に被害届を提出した。 同市の放課後児童クラブは、おおむね小学校区ごとに設置。地域の社会福祉協議会などの団体でつくる運営委に対し、市が委託料を支出している。市は、元事務局長が単独で経理を担い、運営委の会計監査が機能していなかったと指摘。会計事務の二重チェックなどの再発防止策を指導した。」
(引用ここまで)
いくつかのメディアで同一事案の報道があると、それらを比較することで、1つの報道記事では盛り込まれていなかった内容が他の記事からの情報で補えるので、全体的な事案の輪郭がよりくっきりと浮かび上がって見えることがほとんどです。今回もまったくその通り。報道からうかがえるポイントは次のようなものがあるでしょう。
・北九州市から委託を受けて放課後児童クラブを運営している団体であり、運営委員会の事務局長の職にあった者の不正行為である。
・経理担当者が1人であり、相互監視の機能が発揮される仕組みではなかった。
・過去5年間にわたって不正行為が確認されている。5年間は書類保存の期間であり、それ以前に不正があったかどうかは不明。
・不正を行った事務局長は3月に退職。懲戒解雇ではない。
<児童クラブだから起こりえた事案、ではないけれども、児童クラブでは起こりやすい事案>
経理担当者の着服というのは、児童クラブの事業形態、業界だからこそ起こりえた不祥事ではありません。あえて言えば、どんな業界、業態であっても「カネを扱う担当者が1人」という場合であれば、発生しても不思議ではない事案です。カネの取り扱いに対して厳重であるはずの金融機関でも時折、担当者が1人であったがゆえの着服事案が起きていますし、被害額なんて数億円、数十億円に達することがありますからね。「児童クラブという業界は、着服事案が起こりやすい、ルーズでけしからん世界だ」ということにはなりません。
しかし一方で、児童クラブという業界は、こうした着服事案を招きやすい土壌があると私(萩原)は指摘します。それは、児童クラブが業務の中核としている育成支援には全く関係なく、児童クラブという事業をどう行うのかという事業形態と、児童クラブというビジネスそのものに起因するものです。具体的には、児童クラブという事業を営む事業者には小規模、零細規模の事業者が多く、一般的な企業が行っている組織運営の形態とかけ離れた組織運営が行われているということと、不正行為を防止するために必要な仕組みを整えるために使えるカネが少ない、ということです。
児童クラブにおいては、組織運営は個人の力量、判断、能力に完全に依存した仕組みになってしまって「法令や、組織が定めた規律規定、ルールに従った運営」が実行されていないことがほとんどである、ということがあると私(萩原)は実感しています。
まず、児童クラブの運営事業者は得てして組織そのものの規模が小さい。まして保護者運営の場合では任意団体でも、任意団体を法人化したとあっても、組織の経営にあたる者、組織運営に従事する者が専従者でないことが多く、専従がいても1人しか雇えないという財政事情であることは珍しくありません。複数の者が運営本部、事務局などの本部機能に従事していることが少ないのです。数十クラブを運営するような法人では複数人が事務方として従事することができますが、それとて、複数人が従事していてもそれぞれに担当している業務ごとに仕事の範囲が固定されていて、結局は経理担当は経理の仕事を全責任を持って任されている、ということであれば、結局のところ、複数人におけるチェック機能、相互監視機能が働きにくい仕事の環境になってしまいます。しかも、人と人のその場のやりとりや判断で物事や事態の処理の方針や方策が決められており、本来なら従うべき組織が制定した、あるいは国の法令などにまず従う、という感覚が薄いという傾向が色濃くあります。
児童クラブの世界は大きく2つの世界に分かれつつあります。1つの事業者があちこちの自治体でクラブ運営を手掛けるようになり数百単位のクラブを運営する事業者が増えつつある世界と、1つのクラブ、1つの支援の単位で1つの法人または1つの任意団体(保護者会、運営委員会等)である世界、ということです。では前者の、大きな事業者、企業であれば事業者内の不正が起きないかどうか、それはまた別問題です。なんともいえません。全国各地で児童クラブを運営する事業者であっても、クラブの経理や労務管理は地域ごとの本部や拠点で行っていてその場に勤めているスタッフが1人や2人ということだってあり得ます。
それは、児童クラブで利益を得る、つまり補助金ビジネスが事業の柱となっている広域展開事業者で顕著ですが、もともと児童クラブに交付される補助金は運営費にしても開所日数や長時間開所、あるいは障害児受入事業にしても、「健全育成事業そのもの」に対する補助金がほとんどです。事業の運営を支える本部職員など、いわゆるバックオフィス機能の維持に使える補助金は「放課後児童クラブ育成支援体制強化事業」ぐらいしかありません。補助金ビジネスを事業としている児童クラブ運営事業者は、どうしても予算を充てねばならない現場への資金投入以外は極力、予算を削るので、組織運営に充てる予算を存分に割り当てることが無く、結果的に、保護者運営の組織と同様、専従で経理や本部機能を複数人で分担して相互に関わりながら業務を実施するという業務体制には、なかなかなっていないようです。担当地域にある複数クラブの巡回や欠員対応に従事するエリアマネジャー、スーパーバイザーのような職員が兼務で経理会計業務も担っている、ということがあるようです。
児童クラブの世界は、何から何まで「人」が手を出さねば処理できない仕事だらけですが、その「人」を使うための予算が極度に少ないため、結果的に単独による業務の遂行ということが、当たり前にありうるのですね。総じて、業務そのものに投下される予算額、カネが少ないので、「組織を回す、動かす」という人を有償で確保できないという、児童クラブならではの土壌、構造が、悪意を持った人物の長期間の不正行為の存在を許すことに、なりがちなのです。着服や横領といった経済的な不正行為も、また他者への暴力や窃盗などといった犯罪行為も、それなりの期間にわたって実行されてしまう要因です。
また、今回の北九州の事案でも特徴ですが、「監査」「監視」が非常に緩い地域があります。すべての地域ではありません。私が運営の責任者を務めていた埼玉県上尾市では毎年、担当課が、児童クラブを運営する法人のすべての会計資料を「人の目」で確認していました。数日間にも及ぶ作業ですが、しっかりと市の職員がチェックしていました。普段から行政の管理監督が行き届いていれば、架空の人件費をでっちあげて差額を懐に入れるという単純極まりない着服の方法など、すぐに見破れます。
児童クラブの世界は「善意」が幅を利かせている世界だと私はつくづく思っています。こどもの育ち、保護者の子育てを応援する、支える人に「悪い人はいない」という根拠のない思い込みが基盤になってその上で児童クラブの活動が成り立っているという印象です。そこに、「人が足りない」(=これは行政担当課の担当者の人数にも当てはまります。まして数年での異動が当然ですから、児童クラブの監査やチェックのポイントを知るまでもなく次々に担当者が変わるという悪条件がさらに加わります)ので、「まあ、きっと、うまく運営してくれているよ」という意識になって、監査や監視が甘くなりがちなのです。
<監事は何をしていた?>
北九州の事案ですが、委託を受けていた団体であれば、その団体には間違いなく監事がいたでしょう。その監事は、何をしていたのでしょうか。そこを問う報道がないのが、私には理解できません。たぶん、記事を書く記者も、組織による運営の仕組みを理解していないのでしょう。公金を受けて事業を営む補助金交付団体であれば当然、そうでなくても、カネを得て事業を行うあらゆる組織団体には、カネの使い方が適切であるかどうかをチェックする監査を担う人が置かれるはずです。監事であり、クラブの保護者会でいえば会計監査の役職の人です。
まさか、年度末に、事務方が作成した資料をざっと読んだだけでハンコを押していた、ということではないでしょうね。北九州の事案はおそらくその「まさか」だと私には想像できます。少しでも監事の役割を理解している者であれば、人件費の項目を見て、従事している人数と比べて人件費(給与支給分)が過大になっていることを見抜けないはずがありません。同じ団体の監事に向けて、架空の職員名を挙げてその人件費分だと説明しようとするでしょうか。ろくに職員の人数も把握していない、監事を単なる名誉職と思っている人物であれば、まんまと騙せそうな気もしますし、そういう監事が多いのも事実でしょう。
およそカネを扱う組織は、カネが適切に使用されているかどうかを管理監督する自律的な仕組みを整えねばなりません。監事は、役員の「上がりポスト」ではなく、監事業務の極めて重大な責任を理解した人物が、その組織の役員の顔色などをうかがうことなく自らの職務の責任に従って業務を行うこと、これが求められます。児童クラブに、この監事の重大な責任と役割を認識し、適任と思える人物に就いていただいている例はどれほどあるでしょうか。この点1つとっても、およそ児童クラブというものは、「事業体の経営」と「事業運営」について理解が浅いですし、いわゆるビジネス上のコンプライアンスに関する当然の常識に欠けている例が、あまりにも多いと言わざるを得ません。
<管理がおざなりだった役所は被害者ではない。不正行為を実は助長させていたに等しい>
今回の北九州の事案では、「会計事務の二重チェックなどの再発防止策を指導した。」(読売新聞オンライン)と報道されています。行政は事案の公表と再発防止に取り組んでいると見えます。私に言わせれば、「この期に及んで指導しただと? 普段から指導していなかったのか? 毎年の監査はどのようにやっていたのか記者会見で明らかにしたのか?」と言いたい。今までは根拠のない理由で得た信頼感を基に業務を任せていたのではないのでしょうか。報道されている内容が事実であれば、あまりにも単純な手口ですよ。従事している職員の氏名と配置クラブの職員勤務シフトを見れば、架空の職員による人件費などものの数分で見抜けます。それすら過去5年間、見抜けなかったのは、「何も監査、管理監督していなかったに等しい」と、私は指摘します。不正を行った事務局長なる者の責任は最も重大で非難されかつ刑事民事の両面で責任を追及されるのは当然ですが、その事務局長の不正行為を長年見抜けなかった、いや、見抜こうとしなかった管理監督体制を取っていた行政執行部もまた、責任を問われるべきです。偉そうに再発防止を指導した、ではありません。
返す刀で、児童クラブの事業者にも私は批判をしたい。自ら事業者は事実を公表するべきです。どのような団体なのか分かりませんし、代表が保護者かもしれません。ですが、着服された金は補助金であり、保護者が納めた大事なお金です。公の事業に係る不正行為ですから、公に向けてしっかりと事実を公表して団体として謝罪するべきです。報道には、こどもへの影響を懸念して公表しないという趣旨の文章がありますが、いい加減にしてほしい。こういうときに「こどもへの影響」を、錦の御旗とするべきではありません。こどもに失礼です。こどもの支援を隠れ蓑に不正行為をしていたのであれば、こどもに謝罪するべきであって、それは公の場で謝罪するべきです。児童クラブの自浄能力を発揮していただきたい。そうでなければ「児童クラブって、ああいうバカみたいな不正が簡単にできる世界なんだよね」と、世間の誤った誤解が定着してしまいます。「私たちの世界の中で、こんな恥ずかしいことをした人がいた。見抜けなかったことが申し訳ない」と謝罪して初めて組織の再出発ができます。再発防止策が重い意味を持って組織内で定着していきます。行政が公表しなくとも、児童クラブの世界の側が率先して、自らの恥をさらして、法令順守を誓って再出発していただきたい。
私は、このような不祥事が、児童クラブの運営形態に大きな影響を及ぼすことを懸念しているのです。それはつまり、「保護者とか、非営利とか、そういう団体に任すと、法令違反も平然としでかすような人が運営に関わる可能性が高くなる。だから、あちこちで児童クラブを運営している大きな企業や団体にこそ、児童クラブを任せておけばいい」と、自治体の担当者や議会、あるいは保護者も含めて、一般的な考え方として定着してしまうことを恐れているのです。地域に根差した児童クラブの運営事業者は「コンプライアンスにおいて不安がある」とされて、あちこちで児童クラブを(表向きは順調に)運営している企業や団体、広域展開事業者に任せておけば、ああいう不祥事は起きないだろうという考え方が基本的な考え方となってしまうことを、恐れているのです。とどのつまり、現状において広域展開事業者は補助金ビジネスに夢中であるという本質を十分に理解されないまま、表向きの立派な事業運営内容によって、あちこちの地域で支持を受けてクラブの運営数を増やしていく。
今回の北九州の事案においてどういう運営事業者であるか分かりませんが、運営委員会が介在していることは確かなようです。それは地域に根差した運営の1つの仕組みです。運営委員会による運営は問題が多いということは過去の運営支援ブログでも何度か投稿してきました。結局のところ、「やっぱり事業者の経営、事業の運営に、素人が関わるのはダメだ。企業や大きな団体に任せておこう」という考え方をまた強く支持する結果になってしまうのであろうと、私は残念に感じるのです。今回の事案を深刻にとらえているのです。
北九州の地域における児童クラブの世界が、どうしてこんな不正が行われてしまったのか、何か手を打てなかったのかということを自ら洗いざらい公表し、信頼回復の第一歩にしていただきたいと、私は訴えたい。
<児童クラブ事業者の経営と運営を、より堅実で健全な経営とするために>
・法令順守の徹底。コンプライアンスこそあらゆるものの最上位に位置することを徹底的に理解させる。たとえ担当者が1人であっても、担当者は自分の判断で物事を決めるのではなく、ルールに従って処理する。それをできる人物を従事させる。複数による管理監督を義務付ける組織内ルールもまた徹底して整備すること
・事業者の経営にあたる者、事業組織の運営に従事する者、いずれも複数人の専従者を確保できるように、事業規模を拡大すること。地域に根差した小さな事業者、零細規模の事業者も、「事業体の安定して継続的な存在」の可能性をより高めるために、同じ方向性にある事業者と合併、合流することで事業規模を大きくする。その結果当然に生じる予算の余裕を持って複数専従者を確保し、経営責任、運営責任を明確化すること。これは、児童クラブの「ビジネス化」を意味します。ごく普通の企業のような組織が児童クラブを業として営むことです。ここを毛嫌いするようでは、児童クラブの未来はありません。このゴール地点に早くたどり着かねば、児童数が比較的見込める地域だけはどんどん広域展開事業者が傘下に収めていき、運営が困難な地域だけ取り残され、「自助努力で」なんとかしてね、という厳しい状況に追いつめられますよ。
・ゴール地点(児童クラブの事業者の合併による事業者の規模の拡大)にたどり着くまでの間は、徹底して、運営に従事するあらゆる人物に対する研修を行って、コンプライアンスの徹底を強く意識づける。それができない者はどんどん変わってもらう。もちろん、この「運営支援」はそうした取り組みを徹底的に応援します。まさにそれが運営支援そのもの、だからです。
・報道機関や議会は、児童クラブの運営についてより注意と関心を向け、健全な運営ができているかどうか調べたり、関与したりすること。構造的に、組織の経営、運営に従事する人物を確保しにくい予算構造があるので、問題の解消を掲げて報道を重ねたり、議員は議会で行政執行部の方針を質したりするなどして、補助金の拡大と補助金を市区町村が確実に獲得することを促すこと。
・児童クラブ側の意識改革。「保護者や、保護者出身者がボランタリー精神で参加してくれる」ことを貴ぶのは良いが、それは事業の王道ではない。保護者が関わることの重要な点は、「児童クラブにおける育成支援に、親である保護者の意見を反映させること、児童クラブで過ごし、育っていくこどもたちのその状況をしっかりと把握して受け止めてほしいこと」にあるはず。「運営をさせる、運営責任を背負わせる」のは、かつての「誰かがやらなきゃ存続できないから、やむを得ない」時代の残像でしかない。今や複数のクラブが一緒になって規模を拡大していけば、専門に児童クラブ事業者の経営ができ、組織運営ができる人が見つかる時代。保護者に担わせることが最良というのは、あえて保護者(そして現実に保護者の仕事を肩代わりさせられる職員)を苦しい状況に置かせつつ、その苦しい立場にいる人たちに「あなたたちの負担を解消してくれるのは、〇〇党の〇〇さんですよ」と選挙前にささやくことができるその構図を温存したいごくごく一部の人たちの思惑でしかない。あるいは、すでに存在している「保護者に追わせた責任の重さから出る恨みつらみを聞く組織や団体」の「存続」を守るために、その恨みつらみが出てくる状況を温存しているだけに過ぎないのではと私は強く認識しています。こんなバカけた構図はとっととぶっ壊し、児童クラブの事業を専門に営む事業者であって、かつ、育成支援を最重視し、そのために職員の安定した雇用を第一とする事業者の育成こそ、いま最も必要であると、理解することです。そのようにして生まれた事業者は、児童クラブ事業で得られる収入の数割を事業者が利益として必ず確保することを前提に営まれる補助金ビジネスとは、本質的に異なるものです。
今回の北九州の事案、単にバカ者がしでかした不正行為にとどめてはなりません。児童クラブの世界が持つ弱点が露になったものとふまえて、自省をしつつ、児童クラブの世界における事業者の経営と事業の運営が健全な方向に発展していくためのきっかけの1つとするべきです。
(お知らせ)
<新着情報!> 2025年6月から放課後児童クラブ(学童保育所)の新規設立と日本版DBS制度への対応に際してご相談者様、ご依頼者様からのニーズに万全対応を期すべく「イオリツ行政書士事務所」(佐久間彩子代表)と、業務上において連携することと致しました。
弊会に寄せられた児童クラブ新規設立のご相談、ご要望に際しては、児童クラブ全般の説明や業務設定の支援を弊会にて行い、クラブ設立に関する具体的な相談や手続きにつきましては、イオリツ行政書士事務所にて対応となります。また、日本版DBS制度につきましては、弊会は事業者の労務関係面の対応助言や必要規程の整備を担当し、イオリツ行政書士事務所が制度の説明や、認定事業者を得るための具体的な手続きの説明や代行面を担当いたします。
佐久間氏は、「日本一、学童保育に詳しい行政書士を目指す」として2025年度から事業を開始された気鋭の行政書士です。児童クラブに関しても豊富な知識を有しており、また実際に保護者運営系の児童クラブの利用者であり運営にも関わっておられるので、児童クラブに関する業務についてはまさに最適任です。
児童クラブの新規設立や運営主体の変更の手続き、また日本版DBS制度の全般的な相談には、ぜひとも「イオリツ行政書士事務所」まで、お問い合わせいただけますと幸いです。
「イオリツ行政書士事務所」(https://office-iolite.com/)
代表者:佐久間 彩子(さくま あやこ)
所在地:〒231-0048 神奈川県横浜市中区蓬莱町2-6-3 KOYO関内ビル406
もちろん、イオリツ行政書士事務所は日本版DBS制度についてきめ細やかな事業者様のサポートが可能です。
・認定取得に向けた申請書類の整備/相談
・導入/管理体制の構築、運用のサポート
・職員/保護者向けの説明サポート
・制度や法令に関する最新情報の提供
・就業規則等の整備、労務関係面の対応助言(弊会も連携して対応いたします)
日本版DBS制度についてのご相談は、弊会並びにイオリツ行政書士事務所まで、ぜひご相談ください。(https://dbs.office-iolite.com/)
※新着情報はここまで。「お得情報」が下にあります!
〇弊会は、次の点を大事に日々の活動に取り組んでいます。
(1)放課後児童クラブで働く職員、従事者の雇用労働条件の改善。「学童で働いた、安心して家庭をもうけて子どもも育てられる」を実現することです。
(2)子どもが児童クラブでその最善の利益を保障されて過ごすこと。そのためにこそ、質の高い人材が児童クラブで働くことが必要で、それには雇用労働条件が改善されることが不可欠です。
(3)保護者が安心して子育てと仕事や介護、育児、看護などができるために便利な放課後児童クラブを増やすこと。保護者が時々、リラックスして休息するために子どもを児童クラブに行かせてもいいのです。保護者の健康で安定した生活を支える児童クラブが増えてほしいと願います。
(4)地域社会の発展に尽くす放課後児童クラブを実現すること。市区町村にとって、人口の安定や地域社会の維持のために必要な子育て支援。その中核的な存在として児童クラブを活用することを提言しています。
(5)豊かな社会、国力の安定のために必要な児童クラブが増えることを目指します。人々が安心して過ごせる社会インフラとしての放課後児童クラブが充実すれば、社会が安定します。経済や文化的な活動も安心して子育て世帯が取り組めます。それは社会の安定となり、ひいては国家の安定、国力の増進にもつながるでしょう。
放課後児童クラブ(学童保育所)の運営支援は、こどもまんなか社会に欠かせない、あらゆる児童クラブを応援しています。
☆
弊会代表萩原ですが、2024年に行われた第56回社会保険労務士試験に合格しました。これから所定の研修を経て2025年秋に社会保険労務士として登録します。登録の暁には、「日本で最も放課後児童クラブに詳しい社会保険労務士」として活動できるよう精進して参ります。皆様にはぜひお気軽にご依頼、ご用命ください。また、今時点でも、児童クラブにおける制度の説明や児童クラブにおける労務管理についての講演、セミナー、アドバイス、メディア対応が可能です。ぜひご連絡ください。
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放課後児童クラブについて、萩原なりの意見をまとめた本が、2024年7月20日に寿郎社(札幌市)さんから出版されました。本のタイトルは、「知られざる〈学童保育〉の世界 問題だらけの社会インフラ」です。(わたしの目を通してみてきた)児童クラブの現実をありのままに伝え、苦労する職員、保護者、そして子どものことを伝えたく、私は本を書きました。学童に入って困らないためにどうすればいい? 小1の壁を回避する方法は?どうしたら低賃金から抜け出せる?難しい問題に私なりに答えを示している本です。それも、児童クラブがもっともっとよりよくなるために活動する「運営支援」の一つの手段です。どうかぜひ、1人でも多くの人に、本を手に取っていただきたいと願っております。注文はぜひ、萩原まで直接お寄せください。書店購入より1冊100円、お得に購入できます!大口注文、大歓迎です。
さらに運営支援からの書籍第2弾として、放課後児童クラブを舞台にした小説「がくどう、序」を発売しました。埼玉県内の、とある町の学童保育所に就職した新人支援員が次々に出会う出来事、難問と、児童クラブに関わる人たちの人間模様を、なかなか世間に知られていない放課後児童クラブの運営の実態や制度を背景に描く小説です。新人職員の成長ストーリーであり、人間ドラマであり、児童クラブの制度の問題点を訴える社会性も備えた、ボリュームたっぷりの小説です。もちろんフィクションですが、リアリティを越えたフィクションと、自信を持って送り出す作品です。残念ながら、子どもたちの生き生きと遊ぶ姿や様子を丹念に描いたハートフルな作品ではありません。大人も放課後児童クラブで育っていくことをテーマにしていて、さらに児童クラブの運営の実態を描くテーマでの小説です。児童クラブの運営に密接にかかわった筆者だからこそ描ける「学童小説」です。ドラマや映画、漫画の原作にも十分たえられる素材だと確信しています。
この2冊で、放課後児童クラブの世界をかなり知ることができると運営支援は自負しています。いわゆる日本版DBS制度において、放課後児童クラブと関わりができるであろう弁護士や社会保険労務士、行政書士といった各士業の方々には、放課後児童クラブの世界を知るにはうってつけの書籍となっています。他の業種、業態とかなり異なる、ある意味で異質の業界である児童クラブについて知ることができる、運営支援からの2冊を士業の方々には、ぜひご活用ください。
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「あい和学童クラブ運営法人」は、学童保育の事業運営をサポートします。リスクマネジメント、クライシスコントロールの重要性をお伝え出来ます。子育て支援と学童保育の運営者の方、そして行政の子育て支援と学童保育担当者の方、議員の方々、ぜひとも子どもたちの安全と安心を守る場所づくりのために、一緒に考えていきましょう。セミナー、勉強会の講師にぜひお声がけください。個別の事業者運営の支援、フォローも可能です、ぜひご相談ください。
☆(お得情報!)
(放課後児童クラブのエアコン機器の点検と清掃を考えている方に朗報です。弊会をバックアップしてくれている、埼玉県上尾市の「SVシステム株式会社」(埼玉県上尾市の電気・空調設備施工管理会社|点検・修理・メンテナンス|SVシステム株式会社)が、「児童クラブ限定」で、格安にエアコン機器の点検と清掃を承ります。埼玉県や上尾市に比較的近い地域であれば県外でもお伺いできます。見積はもちろん無料です。技術者のスキルは超一流。私が以前、児童クラブ運営事業者だったときからの長いお付き合いです。弊会お問い合わせメールで連絡先をお送りいただければSVシステム社に転送いたします。直接のご連絡も、もちろん大丈夫です。夏前にぜひ、エアコンの点検を!)
☆
(ここまで、このブログをお読みいただきありがとうございました。少しでも共感できる部分がありましたら、ツイッターで萩原和也のフォローをお願いします。フェイスブックのあい和学童クラブ運営法人のページのフォロワーになっていただけますと、この上ない幸いです。よろしくお願いいたします。ご意見ご感想も、お問合せフォームからお寄せください。出典が明記されていれば引用は自由になさってください。)