「放課後児童クラブ(学童保育所)の運営を任せたい」事業者はどういう事業者か。行政側の考えを理解することが肝心
放課後児童クラブ(いわゆる学童保育所)の運営者と働く職員をサポートする「あい和学童クラブ運営法人」代表で「あい和社会保険労務士事務所」の萩原和也です。放課後児童クラブ(学童保育所)運営支援アドバイザーであり、放課後児童クラブの労務管理や事業運営をサポートする社会保険労務士です。放課後児童クラブを舞台にした人間ドラマ小説「がくどう、 序」が、アマゾン(https://amzn.asia/d/3r2KIzc)で発売中です。「ただ、こどもが好き」だからと児童クラブに就職した新人職員の苦闘と成長、保護者の子育ての現実を描くハッピーサクセスストーリーです。お読みいただけたら、アマゾンの販売ページに星を付けていただけますでしょうか。そして感想をネットやSNSに投稿してください! 最終目標は映像化です。学童の世界をもっと世間に知らせたい、それだけが願いです。ぜひドラマ、映画、漫画にしてください!
放課後児童クラブの運営主体はいろいろあります。地方公共団体が設置する公設の児童クラブの運営を民間事業者に任せることはごく当たり前に実施されていますが、その際、行政側が「児童クラブの運営を任せたい」という事業者はどういう事業者なのか、その方向性を理解しておくことは重要です。それを踏まえずに「あんな会社にクラブを任せるのはおかしい!」といくら声を上げても行政側にはまったく届きませんよ。行政側と多く協働で児童クラブ運営をしてきたわたくし萩原が感じてきたことを紹介します。
※当面、ブログ投稿をSNSで告知いたしません。外部URLをX(旧ツイッター)に投稿することを繰り返すとアカウントが凍結されるおそれがあるようです。凍結されたら一大事です。
※ブログ投稿ですが、最近は他の業務との兼ね合いで投稿ができない日が増えています。ご容赦くださいませ。
(※基本的に運営支援ブログと社労士ブログでは、学童保育所について「放課後児童クラブ」(略して児童クラブ、クラブ)と記載しています。放課後児童クラブは、いわゆる学童保育所と、おおむね同じです。)
<運営主体の状況>
運営主体とは、放課後児童クラブを運営する組織や団体、個人を指します。市区町村や地方公共団体に含まれる組合が運営する児童クラブは公営クラブです。それ以外は民営クラブです。民営クラブを運営する組織や団体などには、株式会社や合同会社といった営利法人、NPO法人や社会福祉法人、一般社団法人などの非営利法人、法人ではない存在として保護者会、(地域)運営委員会、地域の任意団体、個人があります。
どの運営主体がどれだけクラブを運営しているのかデータを確認しておきましょう。国がまとめている、放課後児童クラブの実施状況に掲載されています。運営主体について議論や問題になるのは公営クラブの民営化と、保護者運営系クラブから株式会社に移り変わる場合ですから、公立クラブと公設クラブのデータを紹介します。なお実施状況は公設を公立と表記していますのでそれに従います。
令和7年 なお( )の割合は、児童クラブ総数(令和7年は25,928)に対する割合です。
公立公営 5,800 (22.4%)
公立民営クラブ合計 13,543 (52.2%)
うち
社会福祉法人 3,126 (12.1%)
公益社団法人等 1,344 (5.2%)
NPO法人 1,681 (6.5%)
運営委員会・保護者会 2,362 (9.1%)
任意団体 205 (0.8%)
株式会社 4,299 (16.6%)
学校法人 190 (0.7%)
その他 336 (1.3%)
5年前のデータも紹介します。令和2年のデータです。( )は全クラブ数(令和2年は26,625)に対する割合です。
公立公営 8,103 (30.4%)
公立民営クラブ合計 12,747 (47.9%)
社会福祉法人 3,664 (13.8%)
公益社団法人等 1,156 (4.3%)
NPO法人 1,835 (6.9%)
運営委員会・保護者会 3,381 (12.7%)
任意団体 256 (1.0%)
株式会社 2,109 (7.9%)
学校法人 196 (0.7%)
その他 150 (0.6%)
令和7年と令和2年を見比べてみると、公立公営クラブが大幅に減り、株式会社が倍増していることに気が付くでしょう。公営クラブは令和2年が8,103だったのが令和7年では5,800と3,000クラブも減りました。一方、株式会社運営クラブは令和2年が2,109だったのが令和7年は4,299となっています。公設児童クラブの運営に株式会社がどんどん乗り出している、株式会社が運営するクラブが増えている、ということです。児童クラブ運営を事業の柱としている、当ブログでは「広域展開事業者」と称している事業者は運営クラブ数をどんどん増やしていますし、新たに児童クラブ運営を事業の柱としようと新規参入する事業者も増えているのです。
公営クラブ同様、保護者による運営クラブ、上記のデータでは運営委員会・保護者会運営クラブもどんどん減っていますね。5年過ぎて1,000クラブも運営数を減らしています。公営クラブも保護者運営系のクラブも法人運営に移行しているからです。自治体も、保護者も、児童クラブの「運営疲れ」によって市区町村が運営主体を公募して新たな運営先を決めたり、あるいは非営利法人に運営を任せるケースが考えられます。ただNPO法人運営クラブも数を減らしています。保護者運営系クラブの運営主体が法人化する際、かつてはNPO法人を選択することが多かったのですが、由来が保護者運営系だったNPO法人は、組織の構造が法人化しただけで構成する役員は保護者であることが多く、単に「服を着替えただけ」であって、結局のところそうしたNPO法人でも「運営疲れ」によって運営そのものが立ち行かなくなるケースがあります。また、実質的に保護者運営系のNPO法人も公募によって広域展開事業者と競争して負けて運営権を手放すケースもあるでしょう。なお、公募による交渉で広域展開事業者に競り負けるケースが、社会福祉法人である社会福祉協議会においても見られます。
つまり簡単にまとめると、児童クラブの運営は株式会社がいまや中心なのだ、ということです。そしてそれは、保護者系の運営や公営クラブから運営権をどんどん株式会社ー児童クラブ運営を事業の柱とする株式会社ーが手中に収めていることです。それを可能にしているのはほぼ間違いなく、児童クラブ運営を得意とする株式会社が競争の場で勝てるから、です。
なぜ株式会社ーその多くは広域展開事業者(なお広域展開事業者は非営利法人もあります。ワーカーズや三楽、スポキッズ、学童保育じゃんぷ、雲柱会、日の本福祉会といった非営利法人などが代表的)ーが公募で勝てるのかを考えねば、「今までの運営主体がよかったのに、なんで市区町村は株式会社を選ぶの?」という疑問や疑念の解消に至りません。「負けに不思議の負けなし」なのです。
<自治体は、どういう事業者に児童クラブを任せたいのか>
この長い長いブログを愛読してくださっている方は常日頃から児童福祉関係のニュースに関心をお持ちの方も多いでしょう。であれば、「職員が一斉退職して運営ピンチ」というニュースを見聞きしたことがきっとあるでしょう。今も千葉県習志野市の保育園が報道されていますし、札幌など各地で報道されてきました。保育所やこども園などで、職員が一斉に退職して事業存続がピンチに追い込まれると、市区町村はこどもの新たな受け入れ先を探すために必死になります。保育が必要とするこどもがいる限り、保育の機会を用意せねばなりませんから。こどもを受け入れる施設が突如、運営が立ち行かなくなることは自治体にとって悪夢以外の何物でもありません。児童クラブの世界では2008年、埼玉県内にあった児童クラブが突如閉鎖されて地域限定ですがそれなりの騒動となったことがありました(ハッピースマイル事案)。
このような突然に事業が立ち行かなくなる事態だけはどうしても避けたいというのが行政の立場です。放課後児童クラブは放課後児童健全育成事業を実施する場所のことですが、その放課後児童健全育成事業は市町村が行うー民間がやってもよいー公の事業です。公の事業である以上、安定して継続的に事業が運営されることは絶対的に最優先です。これが文句なしのトップで重要視されることです。
であれば、「こどもを真ん中に保護者と職員が協働で運営している」1団体1クラブの運営よりも、広範囲な地域で多数の児童クラブを運営している事業者の方が「財政的な面も、職員の人的資源も、運営のノウハウも優れている」と評価され、公募で選ばれやすくなるような公募の仕組みとなっていることは、自治体にとっては合理的な理由といえます。
財政的な面は比べようもありません。特殊な例として規模が小さな運営主体でも健全運営できているケースはあるでしょうが、一般的に事業は大きければ大きいほど予算が増えますし収入も増えます。それによって運営に余裕がでるものです。広域展開事業者は職員の給与が驚くほど低いことがありますが、それは事業者が利益計上する額をそれなりに囲ってしまうからであって、(ありえないとしても)利益計上する事情が仮になかったとしたら月給は数万円ぐらい余裕で上がるでしょう。
わたくしもかつて児童クラブ運営法人の責任者でしたが、運営責任を一身に負うようになった当初の1~2年間のうちは行政の担当課課長からしょちゅう「萩原さん、頼むから兵糧だけはしっかりしておいてください」と何度も何度も念を押されました。兵糧というのは運営資金です。つまりカネ、財政的な余裕だけは確保しておいてくれ、資金ショートで運営が立ち行かなくなったら行政が最終的に尻ぬぐいすることになりますからそれだけは勘弁願いたい、ということです。
人的資源はやや微妙なところがあります。今話題になっている埼玉県富士見市は新指定管理者が本来必要な配置人数に達するだけの職員を確保できておらず行政が配置基準を仕様書の基準より市条例の基準に一時的に緩和するという禁じ手(最低基準を理由として運営水準を下げないということが市条例に記されているにも関わらず、という意味)を使うほど苦境のようですが、それとて、運営全般をあきらめるという事態になっていないのは、やはり新指定管理者にはギリギリで踏みとどまれる人的資源があるからです。市条例の基準まで水準を下げても配置職員数が確保できなかったら運営自体をあきらめることを事業者が検討せざるを得ないでしょうし、自治体も判断を迫られますが、市条例まで下げることでなんとか運営できているのは、やはり人的資源が最後にモノを言ったからです。
それがどうしようもない場合は、富士見市も、広域展開事業者が新年度からの運営をあきらめた2021年の栃木県宇都宮市の事案の二の舞になったことでしょう。
そして、わたくしが何度も行政関係者から「これが大事なんだよ」と聞かされてきたのは、「運営ノウハウ」です。それは子ども子育て支援交付金の概要や仕組みを確実に理解していることは大前提、児童クラブ運営に関する国や都道府県からの通知通達、児童クラブ事業の中核である育成支援の質の高い水準での維持、職員の雇用労働関係、そして運営事業者が関わる一般的な法律関係においても「抜け目なく」「見落とすことなく」運営できることが、自治体に重要視されるということです。例えば、指定管理や委託といった運営形態に関する書類面を、いちいち自治体担当課に聞かずともミスを極力少なくして作成、提出できる能力です。単年度の業務委託であれば契約に関する書類は毎年、事業者と自治体担当部署が作成することになりますが、その業務による負担を以下に減らせるかが自治体側の関心事項です。
自治体は相次ぐ人員削減によって職員数が減っています。いまや多くの会計年度任用職員が業務を担っている状況です。児童クラブ担当も人口規模が10万人を超える規模の自治体なら専任がいるでしょうが1人や2人が御の字。しかも人事異動が多いので2~3年で新たな担当者を迎えます。これでは書類の作成の形式を引き継ぐのがやっと。児童クラブ側のしょっちゅう替わる補助金の交付要綱や運営における解釈の変更の多さは、自治体側の負担となっています。
その点、児童クラブ運営事業者側がいかに自治体をフォローできるかが、「この事業者になら安心して任せられそうだ。こちらの負担も減りそうだ」という自治体側の期待拡大につながるのです。その点、広域展開事業者は運営に関する書類作成の「ノウハウがある」と思わせることは上手です。単年度の業務委託より、複数年度に及ぶ指定管理者期間や公募型プロポーザルによる複数年度の委託も、毎年の書類作成の機会を減らすことになり自治体には歓迎されます。3年や5年の指定管理期間、複数年度の委託期間の間に自治体側は担当職員の異動があります。となるとますます、受託側や指定管理者側の「書類ですか? 大丈夫です、こちらでしっかり作成できます」というアピールは、選ばれるに都合の良い事情となります。これもまた、「安定して継続的に運営ができる能力」として自治体側に評価されるのです。
自治体が児童クラブを任せたいと考える事業者は、「安定して継続的に事業運営を実施できること」であり、「運営業務に関する事務的な能力を一定の水準で保持していること」です。それこそ最優先。わたくしが行政と一緒に仕事をしてきた経験で思い知らされたことです。
<こどもの育ちは? 職員の処遇は?>
児童クラブの運営主体変更で、以前の運営主体の方が良かったという側はほとんどの場合、「こどもの気持ちを考えているのですか?」「学童の内容は良かったのになぜ事業者を替えるのですか?」「新しい事業者の方が職員の待遇が悪くなってしまい、おかしいですよ」との趣旨のことを反対や異議の理由として挙げることになります。
児童クラブを設置する自治体側も、決して育成支援の水準が低下することを望んでいませんし、こどもと保護者にとって安心して過ごせ、利用できる児童クラブであってほしいと考えます。「こどものことなんて関係ねーよ」と口にする行政関係者は、まずいないでしょう。
ただ、何を最優先に重要視するかの順位付けの問題です。
「自治体側の優先度=事業の安定かつ継続的な運営≧事業内容の維持または向上」
これです。児童クラブが途中で閉鎖したり職員が急にほとんどいなくなって配置基準をどうやっても満たせない状況に追い込まれることだけは絶対に避けたい。であれば、いくらこどものために優れた児童クラブ運営をしていても、職員がいつ何時急な事情で退職せざるを得ないことはこの世の常として想定しておく限り、「事業規模の大きな人的資源のある事業者に任せたい」と思うのは無理もないのです。育成支援の内容はもちろん重視しますよ、でも何より事業を安定して実施できることが最優先ですよ、ということです。
一方で、「こども、職員、保護者の気持ちを!」と熱心に呼びかける側は、わたくし萩原が見てきた限りは次のようなものです。
「こどもの気持ちや職員の気持ちを最優先にする=育成支援を重視する」
1つの要素だけであって、事業の安定かつ継続的な運営の能力は度外視しがちなのです。こどもに関わることだけを熱心にしていればいいんだ、という思いや希望が強すぎて、児童クラブ運営も事業であり事業である以上、財務も労務も法務もすべてにおいてしっかりと理解して処理できる能力が必要だ、ということに考えが至らない。事業規模が小さくても運営に回せる予算が足りなくても、こどものための児童クラブならそれが全て、と視野が極端に狭いのです。児童クラブ運営はビジネスである、という視点を欠きがちなのです。
これでは、自治体側と、「こどものための児童クラブを」と願う側との相互理解は進みません。
<それぞれに問題がある。修正していきたい>
自治体側にも当然、問題があるとわたくしは考えます。運営主体を選び直す過程において、こどもの意見をしっかり受け止めて施策に反映することを、こども基本法は求めています。その趣旨がないがしろにされていては、プロセスに問題があるので結果も正常とは言えません。事業を安定的に実施できる大きな事業者、ノウハウをたくさん持っているであろう事業者を選ぶこと「ありき」で、公募や選定のプロセスが構造として固定化されていては、たとえこどもや利用者たる保護者の意見を聴取しても反映させる段階がなければ、こども基本法の理念は絵に描いた餅に過ぎません。
平たく言えば何度でもわたくしは言っていますが「問題が無い事業者をわざわざ替えなくても良いでしょう」ということです。
事業者側にも問題があります。特に富士見市の事例で明確になりましたが、前の事業者に雇用されていた職員を新たな事業者が雇用しようとしても必要十分な職員数を確保できないという事態は、当然に新たな事業者の雇用の方針に問題があります。児童クラブを「なぜ」運営したいのかということの理解の問題です。ここは本来、自治体が「あなたたちの会社はどうして児童クラブを運営したいのか。その理念は、目的は、到達地点として思い描くことは何か?」を徹底的に問うべき問題なのですが、要は「児童クラブに出る補助金を収益としたビジネスを展開したいのです」ということがとりわけ広域展開事業者にあっては本音なので、カネをいっぱい使う人件費をなるべく抑制したい、という本音を隠して、「当社はこどもたちの育ちをうんぬんかんぬん」という、茶番のような運営事業者選定のプロセスが繰り広げられているので、いざ何かズレが生じたー富士見市で言えば転籍拒否の職員がそれなりに生じたーときに、事業運営に問題が発生するのです。公的な事業で利益を追求することはもちろん間違ってはいません(それが間違いなら公共事業の受注者がいなくなる!)が、児童クラブの場合は、事業運営の質の良しあしを決定的に決める「職員」への投資が抑制されがちなので、問題なのです。ここを規制の形で限度を定めるー例えば賃金状況を盛り込んだ条例制定や契約の締結ーことが必要なのです。
<こどものため! を叫ぶ前に>
いま、どんどん広域展開事業者が児童クラブ運営の権利を手中に収めています。「いま」、職員の人件費を必要以上に抑え気味な事業者の跳梁跋扈(ちょうりょうばっこ)を食い止めるには何が必要かを考えねば、「いまから」の状況は変えられません。「自治体はもっとこどもを大事にする事業者を選ばねばダメです!」といくら叫んだところで、「年度の途中で、契約や指定管理期間で運営が立ち行かなくなる可能性がある脆弱な事業者には任せられないよ」と自治体が判断すれば、その叫びはまったく意味がありません。
運営支援は次のことを直ちに運営事業者が実施していかないと、どんどんと広域展開事業者が児童クラブを運営することになると考えていますし、それは間違いなくそうなるでしょう。
1 事業体として盤石になること。
財務も法務も労務も、しっかりと専門職が従事している、または専門家に外注する等で万全の態勢を整えていることです。当然ながら規模が大きいことが十分条件です。運営する支援の単位数が少なくても財務状況が良好で職員確保に問題が無ければいいのですが、そうではない限りは運営クラブ数を増やして収入を増やし、一般的なスケールメリットを確保することが優先されます。
2 事業体として運営体制が明確になっていること。
これはとりわけ保護者運営系にありがちですが、児童クラブ運営は「事業」そのものです。カネを使って運営して人を雇っているのです。そうした事業を行う上では責任体制が明確になっていなければなりません。事業運営の責任者が明確であることは当然で、それも専従者であることが求められます。非常勤の責任者の場合は常勤の実質的な責任者が備わっていなければなりません。
非常勤の代表理事と常勤の事務局長がいて、登記上の責任者は代表理事であっても事業の責任者は事務局長である、という体制は、わたくしの考えでは望ましくはないですが最低ラインで、非営利法人なら代表理事と事務局長の2人が代表権を持つような登記が必要です。児童クラブで補助金を受けているならば公のカネを得て事業を実施しているのですからなおさら責任体制は明確となっているべきです。
3 複雑な児童クラブ関係の業務やルールに関して自治体にサポートできるまで詳しくなること。
自治体に「任せられるね」という安心感を持ってもらう。実際に自治体側に確認されたり指示されたりする前に「そのことですか、そういうこともあろうかと実はですね」と着手済みである、ということが良いですね。自治体に言われて動くなんて遅すぎます。
保護者運営の任意団体や保護者運営系の非営利法人は上記いずれも弱いです。だから、それらに強い(と思わせるのが上手な)広域展開事業者がどんどんシェアを広げているというのが、運営支援の解釈です。
「新しい事業者は全然ダメじゃないか!」と声を上げても、手遅れなのです。「いまの仕組みが使われる以上」、その仕組みの上で勝負ができなかったから負けたのです。新しい事業者が選ばれるような事業運営体制や自治体の評価であったことが、負けなのです。つまりは自業自得です。もちろん、ただ単に事業規模が大きいだけで選ばれやすくなる今の選定の仕組みや評価審査の仕組みはすぐにでも改めてほしいとわたくしは考えますが、百年河清を俟つ、のではなくて「いま勝てる」体制にもっていかねばダメだということです。それをしないから競争で負ける。つまり「負けに不思議の負けなし」というのは、今のルールで勝てるように自らを変えてこなかったから、ということです。まして、いままでどのような事業者がどのような方針で児童クラブを運営していたのか保護者や職員がまったく興味関心がなかったのであれば、運営事業者が替わってからあれこれ異議を唱える声を上げても「それは後出しじゃんけん」としか世間からは受け止められません。もっとも自治体や今まで運営してきた事業者が、保護者や職員に運営主体変更についてそのメリット、デメリットを事あるごとに説明を重ねているということもまた当然に必要だとわたくしは考えます。残念ながら今の多くの地域では、保護者側も職員側も自治体も現時点での運営主体側も「運営主体が替わるということ」についての注意喚起や理解の呼びかけには後ろ向きすぎ、残念です。職員も、仕事における「忠誠心」つまり「このために仕事をしている」というのが「こどもと、自ら配属されている児童クラブ」に限定されがちで「自分を雇用している事業者」について深く考えることをしない傾向があります。それもまた運営主体変更の際になって戸惑う要因の1つであるとわたくしは憂慮しています。
今時点で採用されている選定、評価や審査の基準を変えるにあたっては、育成支援の価値をしっかりと評価できるだけの手法が確立していることも重要だと考えます。その1つはまさにこどもの意見を聴くことです。受益者たるこどもの評価を大いに参考とすることを、国が公募や選定の場面で半ば義務化すること、それをしないで事業者を選んだ市区町村には国は交付金をカットすることもあっていいでしょう。
その他にも育成支援の水準をどう自治体に理解させ、選定に臨む有識者や選定委員の人に理解してもらえるかも考える必要があります。育成支援の質の分かりやすい達成度や水準の評価システムの確立は、育成支援という分野そのものの社会への理解の度合いにも影響するでしょう。だいたい、育成支援という概念や理念そのものがこの社会にまったく広まっていない。ここはメディアに頑張ってもらいたい。「指導員」呼称がまだまだ一般化しているようでは、「学童? ああ、指導員がこどもを指導してあれこれやらせる場所でしょ。大人の言うことを聞かないこどもは指導員がバシバシと指導すりゃいんですよ」と短絡的な誤解を生み続けるだけです。この点、育成支援の研究者には奮起を望むところです。
なおメディアにも、単に「民営化すれば職員確保ができる」という行政側の主催者発表をそのまま記事として垂れ流すばかりでは、ますます信頼を失うだけです。「本当に大きな事業者になれば職員を確保できるの?」という素朴な疑問さえ持たずに発表記事だけ書いていればそれでいいのですか? 新たに選ばれた事業者は職員確保に定評がある、ということだったらその事業者が別の場所で児童クラブを運営していればその地域の求人広告をチェックしてみればいいだけの話です。わんさかと児童クラブの職員、あるいはエリアマネジャー級の幹部職員すら「未経験でもOK!」として募集している実情を目の当たりにしますよ。それでもなお「選ばれたのは職員確保に問題がないから」という自治体側の発表をうのみにできますか。児童クラブを取材して記事にする記者やライターは、ちょっとでいいので記事を書く前に掘り下げていただきたいとわたくしは希望します。
(お知らせ)
<社会保険労務士事務所を開設しました!>
2025年9月1日付で、わたくし萩原が社会保険労務士となり、同日に「あい和社会保険労務士事務所」を開業しました。放課後児童クラブ(学童保育所)を中心に中小企業の労務サポートを主に手掛けて参ります。なお、放課後児童クラブ(学童保育所)に関して、労働関係の法令や労務管理に関すること、事業に関わるリスクマネジメント、生産性向上に関すること、そしていわゆる日本版DBS制度に関しては、「あい和社会保険労務士事務所」を窓口にして相談や業務の依頼をお受けいたします。「あい和社会保険労務士事務所」HP(https://aiwagakudou.com/aiwa-sr-office/)内の「問い合わせフォーム」から、ご連絡のほど、どうぞよろしくお願いいたします。
☆
放課後児童クラブ事業を考えている民間企業の方へ朗報! 児童クラブ参入の手引きとなる「埼玉県 放課後児童クラブ新規参入スタートブック」が公開されました。全40ページ。フルカラー。冊子は2部に分けて埼玉県福祉部こども支援課のページで公開されています。なお本スタートブックは弊会が作成受託しました。
(前編)
https://www.pref.saitama.lg.jp/documents/166938/r0803_houkago-jidou-club-startbook01.pdf
(後編)
https://www.pref.saitama.lg.jp/documents/166938/r0803_houkago-jidou-club-startbook02.pdf
☆
New! 日本版DBS制度について相談したい事業者さんにぜひともお勧めします。さいたま市南区の「エリーネ行政書士事務所」(https://www.eri-ne.com/)さんのご紹介です。行政書士の入澤えりな先生が、日本版DBS制度を中心に児童福祉施設や児童福祉の事業者様からのご相談に対応してくださいます。日本版DBS制度以外にも遺言作成・相続、介護タクシー等をメインにご相談に応じているとのことです。営業時間は平日9:30~17:00で、土日祝は応相談とのこと。ぜひ、困り事がありましたら頼ってくださいね。
☆
「一般社団法人あい和学童クラブ運営法人」は、引き続き、放課後児童クラブ(学童保育所)の一般的なお困りごとや相談ごとを承ります。児童クラブの有識者として相談したいこと、話を聞いてほしいことがございましたら、「あい和学童クラブ運営法人」の問い合わせフォームからご連絡ください。子育て支援と児童クラブ・学童保育の運営者の方、そして行政の子育て支援と児童クラブ・学童保育担当者の方、議員の方々、ぜひとも子どもたちの安全と安心を守る場所づくりのために、一緒に考えていきましょう。セミナー、勉強会の講師にぜひお声がけください。個別の事業者運営の支援、フォローも可能です、ぜひご相談ください。
☆
(ここまで、このブログをお読みいただきありがとうございました。少しでも共感できる部分がありましたら、ツイッターで萩原和也のフォローをお願いします。フェイスブックのあい和学童クラブ運営法人のページのフォロワーになっていただけますと、この上ない幸いです。よろしくお願いいたします。ご意見ご感想も、お問合せフォームからお寄せください。出典が明記されていれば引用は自由になさってください。)
