「打倒!小1の壁クエスト」第16話。動けば、変わっていく。少しずつでも変わっていくはず。

 学童保育運営者をサポートする「あい和学童クラブ運営法人」代表の萩原和也です。子どもの育ちを支える学童保育、保護者の安定した生活を支える学童保育、そして社会を支える学童保育を支援する「学童保育運営支援」の重要性と必要性、学童保育のあらゆる問題の解決を訴えています。

 「打倒!小1の壁」クエストです。主人公は、子どもが学童保育所に新入所して、勢いで保護者会の会長になった勇者夫婦。夏のキャンプの波乱を乗り越え、季節は秋に進みます。

 ~打倒!小1の壁クエスト~第16話:動けば、変わっていく。少しずつでも変わっていくはず。

(前回までのあらすじ)夏休みのキャンプ。アレこれ詰め込み過ぎのキャンプで、ハイキング途中に熱中症になりかけた子どもを背負って下山した勇者夫婦。それをなじったベテラン職員に怒りの一喝。大事なのは子どもを守ることをきっぱりと示した勇者夫婦でした。

 早いものでもう上期(4~9月)が終わります。9月下旬の役員会のテーマを勇者夫婦は大事にしていました。年度の下期に、これまでの慣習で時代に合っていないものは徐々に変えていくことができるようにしたいとお互いに相談していたのです。

「10月から半年かけて、いろいろと、この学童保護者会の決まりで、時代や法令に合っていないものは変えていきたいと思っています。その中で、真っ先にみんなで考えていきたいのが、年度途中で学童を退所した人に関して、です。1つが、保護者会費の返金のこと。もう1つが、役員や係を退所後も続けるということ。この2つに関しては、法的な責任を考えると問題があると思うので、変えたいと思うのです」

 勇者パパが皆に説明しました。いわく、保護者会の会費は、会に在籍していれば拠出した会費に応じて各種のサービス還元として利益が戻ってくるが、退会してしまうと会の活動による還元ができないので、月割り相当分は返還した方がよいだろうということ。大会後の役員や係の継続も同じで、会に属していない人に義務や任務を課すのは問題があるだろう、という論点です。

 「確かに、前から不思議と思っていたんですよね~」という声が上がりました。その中で、上の子の時代から長年、この学童保育所を利用している保護者から懸念が示されたのです。
「会長さんはご存じないかもしれないですが、保護者会費は結局、年度末近くになると使い切るために、子どもたちへのごちそうとして、いろいろな食べ物をそのお金を使って買っているんですよ。ケーキとか、ピザとか。子どもたちの食べたいものをリクエストしてもらって。退所した人の分を返金するとなると、おそらくですけど、そのイベントに使う資金が無くなるので、子どもたちや保護者からブーイングが出る可能性が、ありますね」

「そんなことしてたんですか。子どもに食べたいものを食べさせたいという気持ちは分からなくもないけど、それって、保護者会費の持ち越しを無くすためにやっているんですよね?子どもを喜ばせたいからなのか、繰り越しを出さないために使い切りたいからそういう使い方をしているのか。学童保育の親として考えたいのは、そういう、子どもたちのリクエストで食べたいものを食べさせることが、学童の本質的な問題というか、育成支援という事業の目的に、合致するかどうかだと、思うんですよ。そもそも、職員は、このことに、育成支援としてのメリットをどう理解しているのか、知りたいところですね」

 勇者ママがスラスラと述べると、周りの役員たちもみなうなずきました。会長になってから、時間の合間に、ハギのところでいろいろと学童について話をして、「日本の学童ほいく」も自腹で購入(ハギに勧められた)して読んでいるので、半年前とは段違いに学童保育について詳しくなってきているようです。

「子どもの楽しみを満たすことは大事なこと。それが、年に1度の、食べたいものリクエスト大会的なことであって、それに育成支援としてのメリットがあるなら、続けても良いとは思うんですよ。ただそうであれば、その時点で在籍している保護者が、その時点で、保護者会の予算に余裕がない部分は別途出し合って成立させることが良いと、私は思うんです。保護者会も、会としてしっかりと運営をするのであれば、退会した人との関係の整理はきちんとしておくべきです。やめた組織に、辞めた後も労働力を提供するって、普通はないですよね」と勇者パパ。

 役員会で話がまとまり、保護者会の規約の変更を保護者会に提案しました。今までの慣習をがらっと変えることに、出席した保護者たちの多くが戸惑っている様子。そんな中で、スラスラと弁が立つ役員メンバーに、多くの参加者は「まあ、それもそうだな」という雰囲気で、別段の反応は出ませんでした。実のところ、多くの人が年度途中で退所するのですが、収めたお金が返金されないことには内心、不満があったのです。誰かが言いださなかったから、言い出せなかっただけなのです。退所しての役員や係の継続も同じ。「嫌だな」と思いながらも、「これまでずっとそうだったから」という無言の圧力、同調圧力に、声を上げたくても上げられない状況が、ずっと続いていたからです。

 これまでくじ引きで決まってきた人たちは、「これまでのことを続けていれば問題は起きない」と、ずっと前例踏襲でやってきたのです。これ、今のお役所仕事と同じですよね。変化を起こすと波風は立つ。その収拾の責任を負わねばならない。それが嫌だから、「余計な責任を負いたくない」から、組織は前例踏襲に走るのです。そして、組織は活力を失って、やがて、「存在することが目的だけの組織」、つまり「死んだ組織」になっていくのです。
 多くの保護者の心の底の思いをうまくすくい上げた結果、次回の年度替わりの総会で規約を変更することと、今年度下期については、退会した人へ保護者会会費を返還すること、役員や係の大会後の継続も先んじて免除することが決まりました。

 これで全部終わった、と役員会メンバーが思ったところで、やはり出たのが「食べたいものリクエスト大会」に関しての不安の声でした。「足りない部分を追加で出すというのは、額にもよるけれど、その時点の予算でなんとかならないか」という声が上がったのです。「それはいいと思うんですよ。ただその結果、もし、食べたいものを調達できるだけの予算がなかったら、それはもうできないということで、いいですよね?」と勇者ママが会場に投げかけると、途端にザワザワと話し声。「子どもがかわいそう」「それが楽しみで退所を年度末まで伸ばしているのに」という声も出ました。

「では、食べたいものを子どもに食べてもらうというそのイベントに育成支援としての意義がどれだけあるか、先生に説明してもらいましょう」と勇者パパは突然、職員に話を振りました。実は勇者夫婦はそれをどこかの場面で繰り出せたら良いなと思っていたのですが、格好の場面がやってきたのです。

 「ええ、メリットですか?それは、その、子どもが喜ぶことは子どもの成長に、子どもが学童に対して思う気持ちに、良いからだということですけれど。。。」
 ベテラン職員は冷静を装って話しましたが、「では、子どものが喜ぶことが本質なら、何も、食べたいものを食べるという行為にこだわることは、ないですよね。もっといろいろ考えられるんじゃないですか?」と勇者ママが職員にさらに繰り出します。
「それはそうですが、食べるということはとりわけ大事なことですから、子どもたちも楽しみにしているわけでっすし。。。」
「なら、通常のおやつと、あまり意味は変わりませんね。通常のおやつをちょっとだけ豪華にして、おやつではない、他のイベントで年度末を締めくくるということを、育成支援の場において実施できれば、先生たちも仕事の本分ですから、うれしいんじゃないですか?」
 勇者ママの言葉に、「確かに、そういう考えもありますが」と返すのが精いっぱいのベテラン職員でした。

 「それでは、追加で費用を出すということは基本的にナシで、おやつについて子どもたちのリクエストをできる範囲で反映させながら、あとは私たち保護者も一緒になって、子どもたちを楽しめるイベントを作ってみませんか?そうだ、卒所式とか、入所式とか、保育所では3月半ばにやりますよね?ああいうことを、あまり大掛かりでないレベルで、学童でもやってみませんか?」と勇者パパはその場で提案してみました。

 「面白そう」という声が上がったので、「では次の役員会で、実際に出来るかどうか検討してみますね。みなさんもぜひ、いろいろな意見やアイデアをどんどん出してください。みんなで、みんなの子どもたちが楽しめる時間と空間を作りましょうよ」と勇者夫婦が呼び掛けて、保護者会は終わりました。

 事の顛末を後日、ハギに話に行った勇者夫婦。「なかなか、やりますの。徐々に、みんなを、巻き込んでいけているようで、その先が楽しみじゃの」という言葉に、手ごたえを感じたのでした。

 何かを変えるには、やはり誰かが動かねばならないのですが、動けば、少しずつ変わっていく。そんな実感が感じられてきた勇者夫婦でした。この調子で、小1の壁も崩すことができるのかな?「打倒!小1の壁」のクエストで、小1の壁についてさらに打倒法を考えましょう。(たぶん続く)

 「あい和学童クラブ運営法人」は、学童保育に関連する多くの問題、小1の壁の問題解決や、保護者の負担感といった学童保育に立ちはだかる多くの問題の解決について、学童保育の運営に関して具体的な実践と経験を積んだ代表が、具体的な解決策を提示することが可能です。

 学童保育の運営についても、育成支援の質の向上に直結する研修、教育の機会を提供するとともに、個々の学童保育所運営者様へ、安全安心な子どもの居場所づくりとその運営手法において、学童保育組織運営について豊富な経験を持つ代表が、自治体や学童保育運営事業者に講演や具体的な助言、アドバイスを行うことが可能です。

 子育て支援と学童保育の運営者の方、そして行政の子育て支援と学童保育担当者の方、ぜひとも子どもたちの安全と安心を守る場所づくりのために、一緒に考えていきましょう。どんなことでも「あい和学童クラブ運営法人」に、ご相談ください。子育て支援の拡充に伴い、今後ますます重要視されていく子どもの居場所づくり事業の充実のため、一緒に取り組んでいきましょう。

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