「打倒!小1の壁クエスト」第15話。一番大切なことを見失ってはいけない。大切なことはアレ!

 学童保育運営者をサポートする「あい和学童クラブ運営法人」代表の萩原和也です。子どもの育ちを支える学童保育、保護者の安定した生活を支える学童保育、そして社会を支える学童保育を支援する「学童保育運営支援」の重要性と必要性、学童保育のあらゆる問題の解決を訴えています。

 「打倒!小1の壁」クエストです。主人公は、子どもが学童保育所に新入所して、勢いで保護者会の会長になった勇者夫婦。小1の壁の仲間たち、「遅い開所時間」と「夏休みのお弁当」はどうにもならない様子。でも、決してあきらめていないのです。

 ~打倒!小1の壁クエスト~第15話:一番大切なことを見失ってはいけない。大切なことはアレ!
(注:アレといっても、阪神タイガースの優勝では、ありませんぞ)

(前回までのあらすじ)夏休みにせめて1日だけでも、お弁当作りから解放されたいと保護者から多くの賛成を得たものの、前例が無いと職員から拒否されてしまった勇者夫婦。それでも、多くの保護者達の気持ちは知ることが出来ました。

 夏に予定されているキャンプ。保護者会が活発な学童保育所では、保護者達がキャンプ場の手配や準備をするところが多いようですね。でも勇者夫婦のところは、アクティビティが充実した野外活動センターにほとんどのことを任せるスタイルで、保護者も職員も、特に何か時間をかけて準備をするようなことはないようです。職員から渡されたキャンプのスケジュールも、実際はセンター側が作成したもの。1泊2日ですが、着いた初日の午後に川下り体験、翌日午前は近くの山へハイキング、そして午後はキャンプ場近くの体験センターで工芸体験というスケジュールでした。コロナが流行する前も、だいたい、そのようなスケジュールでやっていたそうです。

 7月の役員会はキャンプのことも取り上げるので、職員も参加しました。ベテラン職員とタッグを組む、若い職員です。勇者夫婦はこの職員とあまり深い会話はしたことがないですが、それもそのはず、ベテラン職員さんが目を光らせているようで、うかつなことは話しかけられなかったこともあります。

 口火を切ったのは勇者ママ。「キャンプはいいと思うんですよ。でも、初日に川下り、翌日は朝から登山、午後は工芸体験、それを終えて戻るんですよね?なんかこう、そこまでいろいろと、しなきゃいけないんですか?そういうプログラムが野外活動センターで準備されているんですかね?」

 若い職員は、「ええっと、実は私もよく分からないんです。ごめんなさい」と答えました。これに勇者パパは、危機感を覚えました。(職員同時での連携が、うまくいっていないんじゃないか。相手がベテランだから、意見ができない立場にありそうだな)と察したのです。

 勇者パパ「詰め込み過ぎな気がするんですよ。もっと、のんびりと、例えば子どもたちに何をやりたいのか聞いてみて、そこから活動をチョイスすることもいいと思うんですよ。それと大事なのは、今の暑さはとても危ない。2日目の登山は熱中症の危険を考えたほうがいいと思うんですよ。資料を見ると、片道2時間とありますね。キャンプで興奮状態で、前の夜にあまり寝付けなかった子どもたちに、炎天下の中で往復4時間の登山は危険だと私は思いますが、どうですか、皆さんは?」

 参加している役員さんにも意見を投げました。「うーん、そう言われればそうかも」という声もありましたが、「コロナの前に、うちの上の子が参加したんですけど、大丈夫でしたよ」という声もありました。若手職員は「一応、後で職員同士で話してみます」と引き取ったものの、勇者夫婦は「きっと、変わらないだろうな」と思いました。「うちは親子で参加します。休みも取りました。ハイキングにも付き添いで行けますが、せめて熱中症対策だけはしっかりしましょう」と意見を出しました。

 8月初旬のキャンプの日。当然、猛烈な暑さです。それでも山間部に近いキャンプ場ですが、気温は30度を優に超える高さ。初日の川遊びは、施設のインストラクターさんが丁寧に付き添ってくれたので、危険が高い川遊びであっても無事に終えました。キャンプファイヤーはしましたが、夕食は野外活動センターが準備したカレーライス。親子で、飯盒炊飯をして作って食べるのではありませんでした。勇者夫婦には物足りませんでしたが、子どもたちや、何人か付き添っている保護者も「面倒な手間がなくてよかった」と言いながら味わっています。

 翌日のハイキング。朝から日差しが照り付ける中で出発しました。勇者夫婦は事前にネットでハイキングコースを調べていましたが、ハイキングとしてはかなり急な坂もあり、小学1年生から参加としては難易度が高いのでは、と心配していました。しかも、出発前に、1人1人、体調の確認を行った様子もありません。勇者夫婦は「具合の悪い人、調子の悪い人はいる?いたら教えてね」とみんなに呼びかけましたが、割り込んで声を上げたので、ベテラン職員からチラッとにらまれたことは察知しました。インストラクターは2人、職員は全員同行するかと思いきや、ベテラン職員は施設で待機で若い職員のみ参加です。(絶対、さぼったよね。ずるいよね)と勇者夫婦は思いました。

 そして、緊急事態が起こったのです。出発してから1時間ちょっと過ぎたところでした。もう絶対に緊急事態を起こすよねこのブログ主は、と思われた読者の方は正解です。熱中症の危険が高い今の日本の夏で、楽しくてあまり熟睡していなかった子どもたちを登らせて、全員が無事なわけはありません。高学年の子が、まず足をつりました。しんがりを守っていた勇者夫婦がすぐに近寄って様子を見ます。「足が痛いね、つっちゃったのね?」「頭も痛い」

 顔が赤らんでいます。「あ、やばい」と勇者夫婦。すぐに「こんなこともあろうかと」持参していた保冷剤を取り出し、首元や足の付け根、手のひらを冷やす勇者ママ。体温も確認です。高めです。そして勇者パパは先頭にいる職員とインストラクターに「児童1人が熱中症の危険があります。すぐ引き返さないと。他にも同様の子がいるかもしれません」と意見をしました。

 職員は「ええ、ええっと、どうしよう、あとちょっとで頂上に着くんですけれど」ともごもごしゃべっています。(これは、らちがあかない)と勇者パパはインストラクターに「少なくとも熱中症になりかけの子どもはもう無理です。下山する必要があります。うちら夫婦で背負って下山しますが、そうすると、残って登山するにも、大人の人数が足りなくありませんか?日差しがすごい強いですし、熱中症のリスクはさらに高まるはずです。私は、ここで打ち切って下山するほうがよいと思います」と進言しました。

 インストラクターはスマホで、ふもとのセンターの人と相談を始めました。数分後、「分かりました。頂上まであと1キロもないですが、日差しを遮る樹木も減ります。暑いですし、下山しましょう。ただ、途中で休憩をはさんで、ゆっくり下山します。あなたたちは申し訳ありませんが、その子と先に下山してください」と、意見がまとまりました。(さすが、命を守る仕事のプロ!)と感謝しつつ、勇者パパはママと一緒に熱中症になりかけた子どもと先に下山しました。

 野外活動センター側から連絡を受けていたのか、ベテラン職員も施設で待機をしていました。子どもを背負って下山してきた勇者夫婦をみたベテラン職員から「ご苦労様でした」と言われたものの、「もうちょっと頑張れば頂上だったのにね」と子どもに声をかけたとたん、勇者ママは、そうです、ぶちきれたのです。

 「あのね、なんですかそれ、そのまま続けたら、この子、死んでますよ?あなたね、子どもの命の事が心配にならないんですか?ありえないでしょ。大事なのはスケジュールをこなすことですか?違うでしょ、子どもの命をまもることでしょ!それに、診察を受ける準備はどうなったんですか?早く病院で診てもらった方がいいでしょうが!」

 結構な大声で周囲の人はみな黙り込みました。蝉の声だけが響き渡っています。やがて野外活動センター所属の看護師がやってきて、電話で医師の指示を仰ぎながらその子の様子をみています。体温も危険水準はぎりぎり下回っているということで、「冷やして水分と塩分をしっかり補給して様子を見ますね」と、看護を引き受けてくれました。

 それから数十分して、残りの子どもたちも下山してきました。持参したお弁当は、施設で食べることになりました。実は何人かの子どもたち、「頂上行きたかったなー」という子もいれば、「疲れてたから、引き返せてよかったよ」という子も結構いて、ハイキングの打ち切りがみんな残念、というのではなかったです。(うちらが子どものころだったら、絶対に、泣いて悔しがる子どもがいたんだけどな。登りたかった!と)これも時代の変化かなと、勇者パパは思ったものでした。

 実は、後で教えてもらうまで認識していなかったのですが、熱中症になりかけた子は、あの前会長のお子さんでした。キャンプから戻って学童保育所で解散したとき、前会長が勇者夫婦に話しかけてきました。「野外センターの人から電話で聞きました。うちの子を助けていただいたとのことで、その節は本当にありがとうございました」とお礼を言われたのです。
 「いやいやそんなこといいんですよ。大事にならなくてそれが一番ですから。学童は子どもの命を守ってナンボのところだと思っているので」と勇者パパが応じました。

 これで少しは、関係が親しくなるといいんですがね。さてベテラン職員さんはこの後、勇者夫婦にはちょっと尻込みしてしまったのか、あからさまに「ダメですね」「無理です」と、にべもなく却下することが減ってきました。

 徐々に何かが変わりつつあるようです。子どもの命を絶対に守る場所である学童保育所。だからこそ守らねばならないこともあれば、時代とともに変えていかないといけないことも、あるのです。壁を崩すことも同じですね。「打倒!小1の壁」のクエストで、小1の壁についてさらに打倒法を考えましょう。(たぶん続く)

 「あい和学童クラブ運営法人」は、学童保育に関連する多くの問題、小1の壁の問題解決や、保護者の負担感といった学童保育に立ちはだかる多くの問題の解決について、学童保育の運営に関して具体的な実践と経験を積んだ代表が、具体的な解決策を提示することが可能です。

 学童保育の運営についても、育成支援の質の向上に直結する研修、教育の機会を提供するとともに、個々の学童保育所運営者様へ、安全安心な子どもの居場所づくりとその運営手法において、学童保育組織運営について豊富な経験を持つ代表が、自治体や学童保育運営事業者に講演や具体的な助言、アドバイスを行うことが可能です。

 子育て支援と学童保育の運営者の方、そして行政の子育て支援と学童保育担当者の方、ぜひとも子どもたちの安全と安心を守る場所づくりのために、一緒に考えていきましょう。どんなことでも「あい和学童クラブ運営法人」に、ご相談ください。子育て支援の拡充に伴い、今後ますます重要視されていく子どもの居場所づくり事業の充実のため、一緒に取り組んでいきましょう。

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