放課後児童クラブの職場の特徴は何がありますか?

 放課後児童クラブ(児童福祉法に規定されている放課後児童健全育成事業を実施する施設のこと)や学童保育所(放課後児童クラブのことを指している場合がほとんど)の職場の特徴としては「少人数」であることと「運営組織とは独立した事業場のため独自の運営に偏りがち」ということがいえます。

 まず少人数ということですが、児童クラブの職員は正規職員(常勤職員)と非常勤いわゆるパート、アルバイト職員で構成されますが、全員が揃う機会は特定の会議をのぞけばあまりなく、1つの支援の単位(=子どもをおおむね40人をめどに区分して数えることになっていますが、その数え方)においては4~8人程度が日常的に顔を合わせる人数です。この職員同士で仕事を分担、あるいは管理職の指示を受けて業務に取り組むのですが、始終顔を合わせる中でどうしても好き嫌い、うまがあう、あわないという人間関係上のトラブルやいさかいが生じてしまいます。

 また、小学校の授業がある日は、子どもが児童クラブに登所する前は出勤する職員数も少なく2~3人の正規・常勤職員ぐらいということが多いのですが、正規職員同士の人間関係がうまくいってないと互いに仕事上の話をするのですら苦痛に思える時間が連日続くことになるので、こうなった場合にはどちらかが先に仕事を続行することが不可能なほどの志心理的なダメージを負うこともあります。少人数職場でかつ濃密な人間関係が当たり前に存在する職場ですから、あまり他者と関わるのが得意ではない人にとっては、向いていない職業であるといえるでしょう。

 児童クラブはまた運営事業者の本部とは当然違う場所にありますから、常に本部の管理監督を受けているわけはなく、そのクラブの長(主任や施設長など)の差配によって日々の業務が執行されています。児童クラブの特徴として、児童クラブの職員にとって日々関わる相手は支援、援助の対象である子どもと保護者ですから、自然と子ども、保護者に対して最善の手法を考える思考に傾きがちです。すると、事業者の方針、会社の方針よりも目の前にいる子ども、保護者の要望や希望に沿ってしまいがちという傾向が出てくるのです。また、上司や上長が常に目を光らせていないという状況は、児童クラブの現場におけるベテラン職員が思いのままに、自分がやりやすいように勝手に作業内容を変えてしまうという状況も引き起こしがちです。実際、運営本部側は非常勤のボランティア保護者や地域の有力者で放課後児童クラブの事業内容に興味関心も知識もないような無責任体質の事業体は結構多く、そのような事業体の児童クラブでは勤務経験が長い職員が好き勝手に日々の事業運営を行っている例があり、そのようなクラブに配属された若手の職員は1年もたずに離職、ということもあります。

 つまり、何に従うか、何を大事にするかということの点で、児童クラブの職員は子どもと保護者の支援、援助に熱心になればなるほど雇用主である事業者や会社の方針が相対的に軽視されることになります。児童クラブの忠誠心は事業主や会社よりも目の前の子ども、保護者に向きがちであると言えるでしょう。これは事業者、会社の方針に反することを行っても平然でいられる心理状況を招きますから実は大変危険な傾向です。児童クラブの職員の仕事は日々関わる子どもと保護者の最善の利益にあるという理解は忘れずに、雇用されて働いているという立場もまた同時に心得ておく必要があります。

 (運営支援による「放課後児童クラブ・学童保育用語の基礎知識」)