最低賃金が変わります。時給制の人も月給制の人も、しっかり確認しておこう。運営側は当然、対応済みですよね?

 学童保育運営者をサポートする「あい和学童クラブ運営法人」代表の萩原和也です。子どもの育ちを支える学童保育、保護者の安定した生活を支える学童保育、そして社会を支える学童保育を支援する「学童保育運営支援」の重要性と必要性、学童保育のあらゆる問題の解決を訴えています。

 10月1日から順次、全国すべての都道府県で最低賃金が変わります。まず、自分の住んでいる地域の最低賃金額を必ず確認しましょう。インターネットで検索すれば、簡単に分かります。なお、最低賃金額は「時給」で決まっています。

 ちなみに、最低賃金とは何か、おさらいしましょう。最低賃金を担当しているのは、厚生労働省です。厚労省のホームページには、次のように説明があります。
「最低賃金制度とは、最低賃金法に基づき国が賃金の最低額を定め、使用者は、その最低賃金額以上の賃金を労働者に支払わなければならないとする制度です。」
 これは強行規定といって、いかなる事情があっても「絶対にしなければならない」決まりです。ですから、人を雇う側と、雇われた側が、最低賃金を下回る時給の額働くことを合意しても、その合意や雇用契約は無効です。さらに、雇う側が最低賃金を守らないと、50万円以下の罰金の罪に問われます。

 最低賃金は、法律によって、制度の目的が説明されています。
「賃金の低廉な労働者について、賃金の最低額を保障することにより、労働条件の改善を図り、もつて、労働者の生活の安定、労働力の質的向上及び事業の公正な競争の確保に資するとともに、国民経済の健全な発展に寄与することを目的」
 つまり、賃金の最低限度を決めることで、働く人の雇用条件を改善することが目的です。それによって、「労働力の質的向上」つまり労働生産性を高めることと、経済がしっかり安定して発展成長することを目的とする制度なのです。

 ですから、最低賃金が上がっていくことは、働く人のためであり、国の経済を支えるために必要なのですね。

 さて、最低賃金はこの数年、引き上げ額がかつてないほど多額になっています。このことから、働く側、雇う側の双方で注意が必要です。何せ、違反すると罰則がありますから、慎重に対応しましょう。

 働く人は、10月に働いた分の賃金から、「時給の額」が、最低賃金と同じか、上回っているかどうかを必ず確認しましょう。月給制の人は、この式を使って時給を計算しましょう。
「月給の額÷1か月の平均所定労働時間≧最低賃金額」
月給の額は、基本給の額です。通勤手当や時間外手当を含んだ「総支給額」とは違いますから注意してください。
また、時間外手当の計算の基本となっている額が、最低賃金を上回っているかどうかも、しっかり確認しましょう。

 働く側の人が注意しておきたいのは、基本給の設定です。事業者によっては、基本給が「基本となる額+次いで基本となる額」(第一基本給+第二基本給や、基本給+資格手当のようなパターン)のように、2つ以上の支給要素を合算して構成されていることがあります。最低賃金の計算では2つ以上の支給要素を足したもので算定していても、時間外手当の算定では1つの支給要素しか使っていない場合もあります。1つの支給要素で最低賃金を超える水準ならいいのですが、なかなかそうならないでしょうから、注意してください。

 人を雇う側、事業者側は当然、すべての被雇用者に関して最低賃金を下回らないような給与設定が確実に実施される必要があります。特に、初任給や、短時間制正規社員制度などで月給が低めに設定されている場合、時間給に換算して最低賃金を下回るような事態は絶対に避けなければなりません。下回るようなら直ちに給与を改正する必要があります。最低賃金は例年10月に変わりますから、最低賃金改正に伴う対応は、年度のルーティン業務として組み込んでおくべきでしょう。

 最低賃金の引き上げは大変喜ばしいのですが、学童保育の世界は補助金で運営を支えられていて、年度途中の最低賃金大幅アップに対応した補助金の変動制度が取り入れられていません。よって年度の下期は多くの事業者が、最低賃金引き上げの対応に苦慮していることと思われます。事業規模によりますが、数百人単位で雇用している場合、1か月で数万円から十数万円のコスト増、さらに半期の6か月では50万円以上のコスト増になる可能性もあります。数人しか雇用していないごく小さな事業者でも、ギリギリの人件費で運営していると、数千円のコスト増も厳しい局面になります。

 最低賃金の引き上げに対応した年度途中の補助金改定の仕組みが必要ですし、そもそも、最低賃金が引き上げられてもその変動分を余裕で吸収できるほど多額の補助金設定と交付を、国には早期に実施していただきたいと、弊会は訴えます。

 学童保育の世界は最低賃金レベルで働いている人が圧倒的に多いワーキングプアの業界です。最低賃金をどんどん上げて、全国どこでも学童保育で働く人が余裕を持った生活ができるように、弊会は今後も最低賃金の引き上げを期待します。 

 「あい和学童クラブ運営法人」は、学童保育の持続的な発展と制度の向上を目指し、種々の提言を重ねています。学童保育の運営のあらゆる場面に関して、豊富な実例をもとに、その運営組織や地域に見合った方策について、その設定のお手伝いすることが可能です。

 育成支援の質の向上に直結する研修、教育の機会を提供するとともに、個々の学童保育所運営者様へ、安全安心な子どもの居場所づくりとその運営手法において、学童保育組織運営について豊富な経験を持つ代表が、自治体や学童保育運営事業者に講演や具体的な助言、アドバイスを行うことが可能です。もちろん、外部の人材として運営主体の信頼性アップにご協力することも可能です。

 子育て支援と学童保育の運営者の方、そして行政の子育て支援と学童保育担当者の方、ぜひとも子どもたちの安全と安心を守る場所づくりのために、一緒に考えていきましょう。どんなことでも「あい和学童クラブ運営法人」に、ご相談ください。子育て支援の拡充に伴い、今後ますます重要視されていく子どもの居場所づくり事業の充実のため、一緒に取り組んでいきましょう。

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