大阪の学童からSOS!制度の狭間で困難な運営を迫られる学童保育の実態があります。構造的問題の解消が必要!

 学童保育運営者をサポートする「あい和学童クラブ運営法人」代表の萩原和也です。子どもの育ちを支える学童保育、保護者の安定した生活を支える学童保育、そして社会を支える学童保育を支援する「学童保育運営支援」の重要性と必要性を訴えています。学童保育事業の質的向上のためにぜひ、講演、セミナー等をご検討ください。

 学童保育所からSOSが出ています。私は10月1日、X(旧ツイッター)で知りました。大阪市福島区の「海老江学童保育所」が、来年4月の人件費52万円が枯渇して職員雇用ができなくなると、インターネット上で募金を呼び掛けているのです。その募金プロジェクトは今年11月27日午後11時までに、52万円を集めることが目標です。10月2日午前8時の時点では17万8000円でした。まだまだ、険しい道のりです。

 プロジェクトの趣旨に、海老江学童保育所の運営状況が詳しく紹介されていました。民設民営のクラブで、行政からも補助金を交付されています。大阪市は全児童対策事業(児童いきいき放課後事業)が実施されていて、午後7時まで子どもの受け入れが可能ですが、海老江学童保育所は午後7時半まで開所しているとのこと。土曜日や感染症による学校休業時も開所し、土曜日や長期休業時の一日受け入れの際は昼食を提供しているということです。私は、保護者支援に丁寧な取り組みをしている運営体制だと感じました。極めて素晴らしいと思います。

 ところが、新型コロナウイルス流行の影響で、数年前は20人ほどいた入所児童が、現在は10人程度と半減。月謝と補助金も減額となり、運営が非常に厳しい状況に追い込まれているとのこと。保護者の毎月の負担金額も、それまでの2万円から2万3000円に引き上げたものの、年度末には運営資金が底をつく、という状況とのことでした。

 事実として、学童保育所を必要としている子どもと保護者、職員が困っている状況が存在しています。その不安を除去するべく、多くの人からの寄付が必要です。早く目標金額に到達することを願っています。来年4月に、安定した運営ができることが必ず実現するように私もできる限りの支援をしていきます。

 さて、この問題構造を考えねばなりません。大阪市では「いきいき」という全児童対策事業が行われており、市は行政として、放課後児童対策は必要十分な施策を実施していると理解しているかもしれません。ただし、現実として、午後7時半まで開所したり学校休業時にも開所したりすることでエッセンシャルワーカーの就労を支える学童保育所が必要なのです。
 確かに行政は制度上、放課後児童健全育成事業を実施している。しかし現実として、その制度では受け止められきれない子育て世帯は子育て支援の施策の網から漏れてしまうのです。

 このような制度の狭間で苦しんでいる学童保育所を支援しなければなりません。ただし、この問題の解決は、1つのクラブで解決が達成できるほど容易な問題ではありません。制度上の問題だからです。

 目指すべきは、「子どもの居場所として存在が求められる限り、運営に支障がない程度の補助金水準を国が設定する」ことです。小規模学童保育所への補助基準を緩和し、補助金水準を引き上げるべきです。また、国が財政支援の責任を果たせるように、補助金の負担割合を原則3分の1から、国が3分の2もしくは2分の1として、市区町村と保護者の財政負担を減らすべきです。

 現行の制度では、構成する児童の数が10人未満の支援の単位では、山間地や離島など一定の条件にあることを前提としています。海老江学童保育所は、全児童対策事業が行われている地域にありますが、午後7時半までの受け入れを可能とするなどで、エッセンシャルワーカーである保護者からの根強い需要があるわけです。2万3000円の高額な利用料でも、生活に必要だから利用している世帯があるのです。補助金額も、その計算式で控除の基本額となる255万8000円では低すぎます。控除の基本額の引上げが必要です。

 補助金額の引上げは国の施策の変更を求めることです。ここは議員、政治家の方々にこの問題が重要であることを理解していただき、議会や国会の場で議論をしていただきたいと願います。そのためにも、マスメディアで、制度の狭間で苦しんでいる海老江学童保育所の状況を取材し、報道していただきたいと期待します。

 もちろん、学童保育所側にもより効率的な運営が求められるでしょう。入所人数を増やして、保護者から徴収する金額を増やす努力を、これまで同様、続けていく必要はあります。今は、入所人数の少なさで毎月の負担金額を増やさざるを得ないので、入所人数が一定程度増えれば、職員数も増やさざるを得ませんが、毎月の負担金額を引き下げることができ、さらに入所者を呼び込める可能性もあります。

 それは、既存の全児童対策事業との徹底した差別化です。「あの学童保育所は、いきいきよりお金がかかるけど、子どものためなら、いたれりつくせりで、素晴らしい」と多くの子育て世帯の保護者に納得してもらうことを目指すのです。例えば、比較的安価なホームラーニング制度を導入にして学習支援にも配慮した運営をする。保護者の運営に係る負担を軽減するため外注できるところは外注する。例えば寄付やクラウドファンディングで資金を調達して運営や業務の質の向上を目指し、プラス20人の入所者数増加を目指すなどの挑戦も、私は必要だと感じています。

 川崎市のように、全児童対策事業を実施しているため民間の学童保育所に補助金を出さない地域があるなかで、大阪市は、額は満足でなくとも補助金が出ていることは、それはプラスに評価するべきだと思います。ただ、支払時期が遅れがちとの海老江学童保育所の説明は気がかりです。補助金の交付は自治体の要綱で決まっているので、任意で支払い時期を決められるのでは困ります。

 学童保育を必要としている子ども、保護者がいるのですから、国はしっかりと対応するべきです。「今後5年程度を見据えたこども施策の基本的な方針と重要事項等~こども大綱の策定に向けて~中間整理案」の23ページには「誰一人取り残さず、こどもの視点に立った多様な居場所づくりが行われるよう、「こどもの居場所づくりに関する指針(仮称)」に基づき、こども・若者の居場所づくりを推進する。」と記載されています。

 子どもの居場所づくりは、規模の大小は関係ありません。国の早急な対応を望みます。 

 「あい和学童クラブ運営法人」は、学童保育の持続的な発展と制度の向上を目指し、種々の提言を重ねています。学童保育の運営のあらゆる場面に関して、豊富な実例をもとに、その運営組織や地域に見合った方策について、その設定のお手伝いすることが可能です。

 育成支援の質の向上に直結する研修、教育の機会を提供するとともに、個々の学童保育所運営者様へ、安全安心な子どもの居場所づくりとその運営手法において、学童保育組織運営について豊富な経験を持つ代表が、自治体や学童保育運営事業者に講演や具体的な助言、アドバイスを行うことが可能です。もちろん、外部の人材として運営主体の信頼性アップにご協力することも可能です。

 子育て支援と学童保育の運営者の方、そして行政の子育て支援と学童保育担当者の方、ぜひとも子どもたちの安全と安心を守る場所づくりのために、一緒に考えていきましょう。どんなことでも「あい和学童クラブ運営法人」に、ご相談ください。子育て支援の拡充に伴い、今後ますます重要視されていく子どもの居場所づくり事業の充実のため、一緒に取り組んでいきましょう。

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