学童保育所を運営する保護者の団体や非営利法人は、法的リスクを真剣に考えるべきです。

学童保育運営者をサポートする「あい和学童クラブ運営法人」代表の萩原和也です。子どもの育ちを支える学童保育、保護者の安定した生活を支える学童保育、そして社会を支える学童保育を支援する「学童保育運営支援」の重要性と必要性を訴えています。学童保育事業の質的向上のためにぜひ、講演、セミナー等をご検討ください。

 学童保育所は、子どもたちを受け入れてその健全な発達に資するために行う「事業」です。事業を営むということは、当然ながら様々な法的責任を負うのですが、私自身が見聞きしてきた限りにおいて、法的責任について十分に認識し、それを踏まえて事業を実施しているというケースを、あまり認識したことがありません。とりわけ、保護者による任意団体(保護者会など)や、保護者出身者が多数を占める非営利法人による学童保育運営に顕著です。

 学童保育という事業を行うにあたって、育成支援に直接関わる法令への意識は当然ながら持っているとしても、事業を行う上で当然、意識しなければならない法令について、意識があまり向いていない事業運営者が多いのです。その最たるものが「使用者責任」というものです。

 民法第715条で規定されているものですが、簡単に説明しますと、事業者(これには事業の監督者を含みます)が雇用して使用している従業員や職員が、第三者に対して何らかの不法行為を行って損害を与えた場合、実際に損害を与えた従業員や職員だけでなく、事業者も、第三者に対して損害賠償の責任を負う、というものです。
 例えば、職員が勤務中に「故意に」誰かを傷つけた、あるいは「過失」で誰かを傷つけた、という場合です。前者で言えば子どもに対する暴力行為などの犯罪行為であったりハラスメント行為があり、後者で言えば業務中に使用していた自動車や機械を不用意に扱った結果として誰かにけがを負わせた、ということが考えられます。

 学童保育の世界でたびたび発生している、職員による児童への虐待行為や、過失によって児童がけがを負う事案。それらも、この使用者責任というルールが適用されることになります。

 すべてにおいて、事業者は職員の起こした事件事故の責任を負う、ということにはなっていないのですが、これまでの判例では事業者に対する免責については厳格に判断されていて、事実上は「雇っている職員が誰かに損害を与えたら、事業者も責任を免れない」となっています。つまり、「事故や事件を起こさないように日ごろから指示、指導はしていた」と主張しても、「いやいや、会社さんは事業を行うことで利益を上げているのだから、その利益で損害を賠償しなさいね」となってしまうのです。

 学童保育所の事業者の規模がそれなりに大きければ、何かあった時の賠償にも応じられますし、こういう事態に備えた保険商品を利用しているのが普通でしょう。しかし、保護者による運営や非営利法人による運営は、保険商品1つにしてもそれに対する保険料支払いが大変で、加入していないケースが多いでしょう。しかも、こういう保険は犯罪のような故意の事件に対しては保険料が支払われないこともあります。

 もちろん、事故や事件を起こさなければいいのですが、学童保育所職員における不祥事はあちこちで起こっている現実を考えると、運営に携わる人は、「そんなこと、めったに起きないから」と楽観視は到底、できないはずです。もしそのような事態に直面したとき、保護者会運営の場合、当該年度に役員となっている者は、重大な局面に立たされることがありうるのです。(損害賠償責任を負うのは法人や団体ですが、法人等は、法人が受けた損害を理事等の役員に請求することができます)

 以前からずっと続いている運営形態だから、といった理由だったり、保護者が運営することで子どもにとって理想的な学童保育運営ができるといった理由で、保護者主体の学童保育所運営を続けているところが多いですが、学童保育を行うということは、善意の提供ではなく「事業の遂行」です。事業において失敗、不法行為があれば、それに対する責任を、運営側は負わねばなりません。そしてそれは、往々にして、金銭による賠償という形になります。

善意があれば、何が起こってもすべてが許されるということでは、ないのです。法的な責任を負っているという重みを、保護者主体の学童保育運営の場合は冷静に考えるべきでしょう。

 「あい和学童クラブ運営法人」は、学童保育所の運営について発生する種々のリスクについて提言を行っています。安全安心な子どもの居場所づくりとその運営手法においても、学童保育組織運営について豊富な経験を持つ代表が、自治体や学童保育運営事業者に具体的な助言、アドバイスを行うことが可能です。

 子育て支援と学童保育の運営者の方、そして行政の子育て支援と学童保育担当者の方、ぜひとも子どもたちの安全と安心を守る場所づくりのために、一緒に考えていきましょう。どんなことでも「あい和学童クラブ運営法人」に、ご相談ください。子育て支援の拡充に伴い、今後ますます重要視されていく子どもの居場所づくり事業の充実のため、一緒に取り組んでいきましょう。

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