学童保育の運営も利益を確保することが重要。その利益は子どもと職員に還元されるために必要なのです。その4

 学童保育運営者をサポートする「あい和学童クラブ運営法人」代表の萩原和也です。子どもの育ちを支える学童保育、保護者の安定した生活を支える学童保育、そして社会を支える学童保育を支援する「学童保育運営支援」の重要性と必要性を訴えています。

 当ブログではしばらくの間、労働生産性の向上の必要性について発信しています。生産性向上に必要な「業務の質的向上」に続いて、「利益水準の向上」が必要だということ、それは1つに「職員の能力面での質の向上のために、研修と教育の必要性」があり、もう1つとして「職員の賃金面での質」の向上が必要だと、私は考えています。

 賃金面での質の向上は、同じ賃金(金額)で実施される業務の質が、それ以前より以後の方が優れるようになると実現できます。また、同じ業務の量が、少ない労働力(職員数×必要な時間)で遂行できることで、実現できます。それが結果として、同じ額の人件費があるなかで、業務に見合った適正な人件費を配分することになり、それは同時に、各々の職員にふさわしい賃金とすることができ、全体として効率的な人件費の使い方ができるということになるのです。

 前回のブログでは、職員個々の能力に応じて賃金を設定する考え方を取り入れるべき、と訴えました。学童保育の世界ではまったくなじみが無いでしょうが、世間一般で広く取り入れられている評価給、能力給という考え方です。学童保育の世界は「保育の仕事の評価は数値で測れないので評価給や能力給は、ふさわしくない」という考え方が主流ですが、世の中、数値で測れない業種においても当たり前のように評価給、能力給が実施されています。
 要は、「保育は福祉の世界であり神聖な業務。ゆえに評価制度などで働き手の尊厳を損ねるのは許されない」という、単なる「評価にさらされることから逃げたい」という気持ちを、さも児童福祉の仕事が神聖であるかのように主張して成し遂げているだけなのです。「評価にさらされると、自分の好き勝手なように仕事ができない」ということになってしまうからです。もっといえば、「自分の好きなように仕事ができるからこの仕事が楽しい。それを第三者から評価されてしまっては、やりやすいような仕事ができなくなる」という低レベルな実態が、如実にさらされてしまうから忌避しているだけなのです。

 学童保育の仕事の世界は、つまり、「属人的」な性質を帯びたまま発展してきたのです。今に至るも、職員の個々のスキル向上だけに業務の質の向上を期待している世界です。職員集団で、組織全体で、育成支援という専門性の高い業務を遂行するための研究や分析、教育研修が、ほとんどなされていない世界なのです。
 だからこそ、いまだに、全国各地でまったくバラバラな学童保育=育成支援が実施されており、その質の差が激しいのです。

 学童保育所の職員が行うべき(膨大な)業務を一覧として見える化し、その難易度の評価を行うこと。評価が定まれば、その評価に値する賃金設定が可能となります。職位に応じた業務の付与ができ、その職位に対する賃金が決まります。効果的な賃金の使い方ができるようになります。もちろん、業務の評価が可能ということは、その業務に取り組んだ評価の判定が可能になる、ということです。
 また、業務を一定の組み合わせとすることで、「ジョブ型の雇用」が可能となります。業務として実施する内容と賃金を明確にして人を雇用することがジョブ型です。業務内容が明確になっていることで、求職に際してのミスマッチが減らせるメリットがあります。例えば、「おやつ調理を専門に、他は環境整備、子どもの支援は最小限」という業務内容の設定が可能となります。(それがどう、現場の仕事に役立つのか?と思われるでしょうが、育成支援以外の業務を付随業務とするならば、付随業務を引き受ける職員がいてこそ、常勤職員など育成支援に本腰を入れて取り組める職員の活躍が期待できるのです。今後の超高齢化社会を見据え、業務の分担化もまた、必要なのです)

 職員の賃金面における質の向上は、このように、学童保育での働き方を大きく変えることができます。それも、より生産性を向上できる世界に向かわせることができます。研修と教育で、業務に取り組む「姿勢、思考」を成長させ、同時に、効果的な賃金の使い方を可能とする。この両者が共鳴しあって、学童保育所における生産性の向上が可能となるのです。

 人が足りない、給料が低い、仕事がきつい。学童保育の世界が厳しいのは、確かに、収入が限られる(=社会的評価が足りないから、それに見合ったカネしか入ってこないという現実)ことがその最大の原因でしょう。しかし、なぜ社会的評価が低いのか。それは、学童保育の世界が自ら抱えている後進性、すなわち、業務の質の向上と職員の質の向上、運営の質の向上に取り組んでいないために進歩発展を自ら放棄しているから、なのです。もう、そんな前時代的な考え方は捨て去らねばならないのですよ。

 「あい和学童クラブ運営法人」は、学童保育の生産性向上に必要な考え方、取り組みについて、積極的に発信をしていきます。また、育成支援の質の向上に直結する研修、教育の機会を提供できます。学童保育業界が抱える種々の問題や課題について、具体的な提案を行っています。学童保育所の運営について生じる大小さまざまな問題について、取り組み方に関する種々の具体的対応法の助言が可能です。個々の学童保育所運営者様へ、安全安心な子どもの居場所づくりとその運営手法において、学童保育組織運営について豊富な経験を持つ代表が、自治体や学童保育運営事業者に講演や具体的な助言、アドバイスを行うことが可能です。

 子育て支援と学童保育の運営者の方、そして行政の子育て支援と学童保育担当者の方、ぜひとも子どもたちの安全と安心を守る場所づくりのために、一緒に考えていきましょう。どんなことでも「あい和学童クラブ運営法人」に、ご相談ください。子育て支援の拡充に伴い、今後ますます重要視されていく子どもの居場所づくり事業の充実のため、一緒に取り組んでいきましょう。

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