学童保育の運営も利益を確保することが重要。その利益は子どもと職員に還元されるために必要なのです。その3

 学童保育運営者をサポートする「あい和学童クラブ運営法人」代表の萩原和也です。子どもの育ちを支える学童保育、保護者の安定した生活を支える学童保育、そして社会を支える学童保育を支援する「学童保育運営支援」の重要性と必要性を訴えています。

 当ブログではしばらくの間、労働生産性の向上の必要性について発信しています。まず、業務の質的向上の必要性を説明してきました。業務改善行動によって、育成支援の質を上げることです。しかし、それだけではうまく進みません。生産性を向上するためにもう1つ必要な分野、「利益水準の向上」を考えていきます。

 前日のブログでは、利益水準の向上に欠かせない2つの要素のうちの1つ、「職員の能力面での質」の向上のために、研修と教育の必要性を伝えました。それも、育成支援という分野よりも社会人として総合的な能力を高める研修と教育が必要であると伝えました。

 今回は、「職員の賃金面での質」の向上を考えます。これは個人ではなく職員の集団で考えます。分かりやすくいうと、同じ額の人件費があるなかで、業務に見合った適正な人件費を配分することで各々の職員にふさわしい賃金とすることができ、全体として効率的な人件費の使い方ができるということです。

 ここで前提としておきたいのは、利益水準の向上を考える際に「人数を減らして人件費を減らし、しかし同じ業務量を与える」ことや「賃金単価を減らすが、同じ業務量を与える」という形での利益水準の向上は行わない、ということです。それは非常にたやすく生産性の向上を実現できますが、あくまで形だけのものです。ただでさえ、学童保育の世界は、労働力が不足していますし、低賃金ですから、そもそも人を減らす、賃金を下げるといった方策でさえ実際に行うことができない世界です。

 賃金面での質を向上させるために重要なことは、各々の職員の業務における能力を正確に把握し、その能力に見合った業務を担当させ、それに見合った賃金を支払うことです。要は、「できる職員には賃金を上げる」ということです。大事なのは、「できない職員は、まずいない」ということを理解するべきです。本当に「できない」職員はおそらく具体的な業務を阻害する問題を起こしているはずで、それは組織が備えている服務規程や場合によっては懲戒規程で処断すればよいのです。単に仕事ができないということは、「その人ができる業務に巡り合っていないのでは」という考え方をしましょう。
 尚、これは、深刻な人手不足の業界だからという事情もあります。容易に新採用職員を確保できる状況であるなら、「できない判断ライン」を引き上げればよいだけです。

 具体例で考えましょう。賃金30万円のA、25万円のB、20万円のC、3人常勤職員がいるとします。Aが施設長として非常に有能な仕事をしている、Bはそろそろ中堅だが残念ながら業務執行について期待される程度まで達していない、Cは新任で非常に有望である。この場合、組織が「能力に応じた賃金表」を設定することで、その賃金表にあてはめたところ、Aは32万円、Bは22万円、Cは20万円が初任給だが特例で1万円プラス、ということが可能になります。

 つまり、学童保育の世界であっても、担当したり実行できたりする業務の内容を正確に把握してそれに見合った賃金を設定することで、より効果的な人件費の使い方ができるのです。学童保育の世界は基本的に「年齢給」または「固定給」で基本給が設定されていることがほとんどです。そこに、職員個々の能力に応じて賃金を設定する考え方を取り入れるべきなのです。なぜなら、残念ながら収入源が限られ、人件費もそう簡単に増やせない厳しい状況であるからこそ、人件費の使い方にこそ厳格に、適正に使われねばならないからです。漫然に、ただ10年働いているからそのお給料ね、との考え方は、学童保育の世界には最も不適切だと、私は考えます。

 当然のことながら、上記の事を実施するには、それぞれの組織において、「職務の正確な分析」と「職位に応じた職務の設定と、職位に応じた賃金設定」を行うことがあり、そして個々の職員への「評価」を行うことが前提となってきます。

 その人の能力に応じて賃金が異なってくる、仕事ぶりの評価がなされる、これらのことは学童保育の世界では極めて異質でしょう。しかしその「異質」として排除に向かう姿勢こそが、学童保育の業界の進化と発展を妨げてきた本質なのです。確かに賃金は高くない。仕事は結構厳しい。でも、それなりに「こなして」いれば、5年、10年とたてば賃金が上がっている。そういう考えがはびこっていたからこそ、学童保育の「業務の質の向上」が、これまでなかなかなされなかった。

 また、これは経営陣にも適用されるのです。能力に応じた賃金は経営陣にも当然、適用されます。経営陣だからといって法外な報酬を得るということができなくなります。経営にも透明性が生まれます。

 「あい和学童クラブ運営法人」は、学童保育の生産性向上に必要な考え方、取り組みについて、積極的に発信をしていきます。また、育成支援の質の向上に直結する研修、教育の機会を提供できます。学童保育業界が抱える種々の問題や課題について、具体的な提案を行っています。学童保育所の運営について生じる大小さまざまな問題について、取り組み方に関する種々の具体的対応法の助言が可能です。個々の学童保育所運営者様へ、安全安心な子どもの居場所づくりとその運営手法において、学童保育組織運営について豊富な経験を持つ代表が、自治体や学童保育運営事業者に講演や具体的な助言、アドバイスを行うことが可能です。

 子育て支援と学童保育の運営者の方、そして行政の子育て支援と学童保育担当者の方、ぜひとも子どもたちの安全と安心を守る場所づくりのために、一緒に考えていきましょう。どんなことでも「あい和学童クラブ運営法人」に、ご相談ください。子育て支援の拡充に伴い、今後ますます重要視されていく子どもの居場所づくり事業の充実のため、一緒に取り組んでいきましょう。

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