日本の夏はこれからも酷暑。災害です。こどもと職員を守るため、施設整備や過ごし方に、新たな基準が必要です。
学童保育運営者をサポートする「あい和学童クラブ運営法人」代表の萩原和也です。子どもの育ちを支える学童保育、保護者の安定した生活を支える学童保育、そして社会を支える学童保育を支援する「学童保育運営支援」の重要性と必要性を訴えています。学童保育事業の質的向上のためにぜひ、講演、セミナー等をご検討ください。
2023年は6月半ばから今に至るまで、ずっと厳しい暑さが続いています。それがデータでも裏付けられたようです。2023年9月1日に各メディアが、2023年はもっとも暑い夏だったという記事を配信しました。毎日新聞が同日20時9分にネット配信した記事を一部引用します。
「気象庁は1日、今夏(6~8月)の全国の平均気温が1898年の統計開始以来最高だったと発表した。平年より1・76度高く、これまで最も高かった2010年(平年比プラス1・08度)を大きく上回った」
「気象庁によると、地球温暖化に加え、日本近海の海面水温が高かったことや7月に本州付近への太平洋高気圧の張り出しが記録的に強まっていたことなどが要因だという。」
平均気温は、東日本で平年をプラス1.7度を上回り、これは過去最高とのこと。平均気温が2度近く上回るというのは、実は大変なことです。平均値ですからね。日々、上下する気温を平均にならしてみたら2度近く高くなったというのは、全体としてとてつもなく気温が高い日があった、と思って間違いはありません。熱中症警戒アラートも、ほぼずっと出ていたという地域も多かったと思います。つまり、外で遊ぶ機会が大幅に制限されたということです。
このことは、夏季期間における学童保育の過ごし方について、もはや過去の通りでは困難であることを意味します。もう、日本の夏は、今シーズンのように厳しい暑さが続く、つまり災害級の暑さが続くことが通常になるでしょう。それはすなわち、夏休み期間中をはじめとした夏季期間における学童保育での子どもの過ごし方については、これまでのように外遊びの時間がしっかり確保できることは期待できず、熱中症の防止のため空調がしっかり効いた空間で過ごすことが必要となる、ということなのです。
それは現実の学童保育の世界において極めて困難な状況に陥ります。
・大規模学童保育所が多く、施設内で過ごすとなると多数の人間の体温が加わって室温が上昇する。
・施設整備が貧弱な施設が多く、上昇する室温に対応した強力なエアコンを設置している施設ばかりではない。
・「外遊びができず、体を動かせないことで子どもたちの気持ちを発散できないので、子どもたちのストレスがたまる。かつ、大規模化でギュウギュウ詰めなので、心理面でも物理的にもストレスがたまる。結果、居心地の悪い学童保育所になり、学童保育所の雰囲気が急激に悪化する」
・小学校や地域の公共施設にある、冷房が効いた体育館や運動スペースが、常に学童保育で使えるわけではない。
これらの要因で、夏季期間における学童保育は、子どもはもちろん、そこで働く職員にとっても、極めて厳しい環境に追い込まれることは間違いありません。熱中症対策で外出を控えても、室内でも熱中症の罹患リスクがある上に、子どもたちの過ごす環境としてまったくふさわしくない状況になってしまうのです。
緊急に対策が必要です。対策は、実効性を伴うために、国が明確に基準として示す必要があります。子どもや職員の命の問題ですから、のんびりと構えていてはいけません。つまり、夏季期間の学童保育所の利用についてもアップデートが必要なのです。基準は以下の点において必要でしょう。
・夏季期間中、在所児童の多数が登所している環境において、終日、室温が28度を超えることがないこと。
・上記の室温基準を守るために必要な空調機器の設置や整備を至急、進めること。
・室温の過度の上昇を防ぐために、児童1人あたりおおむね1.65平方メートルの面積基準を順守するような児童入所数となるよう施設整備を進めること。
・学童保育所における児童の「あそび等運動を伴う活動」の機会を確保するために小学校等の体育館で空調が効いている施設を優先的に利用できるよう地域の関係各機関の間で相互に調整する機会を市区町村が設置すること。
これらの対策を緊急に進めるために、臨時の補助金の創設も必要でしょう。夏季期間施設整備推進等補助金など、名称は何でもいいので、とにかく、夏季期間における学童保育での利用に支障が出ないようにする対策に使える補助金が必要です。
熱中症警戒アラートが出ていれば当然、アラートが出ていなくても、直射日光が降り注ぐ小学校校庭や大きな公園では、子どもたちを安全に遊ばせることはできないのです。
また、これは案外に大変なのですが、学童保育の職員が、気温や湿度を計測して熱中症の罹患リスクを低減させるよう計画しつつ子どもたちを外で遊ばせていても、その様子を見た外部の人たちからの「クレーム」が、行政や運営組織に相次いで寄せられるという事態も現実に起こっています。それは、子どもたちの様子を心配してからのことなのだと思いたいのですが、中にはその域を超えてご自身の意見を一方的にまくしたてる人もいて、対応に苦慮することが多いのです。
気象の変化はまだまだ科学で予測できることばかりではないので、例えば来年はものすごい冷夏になるかもしれません。でも、それはそれで、対応に要する時間が1年稼げた、と思えばいいのです。長期的には、やはり夏はもう酷暑、猛暑が続くと考えて、その中で、こどもたちの育成支援の質を落とすことが無いような事業展開ができるように、国は制度を整えるべきでしょう。万が一のことがあっては手遅れですし、財政コストはかかっても、コストをかけさえすれば熱中症や余計なストレスで倒れる、傷つく子どもが出ないようにすることができるのですから。
政府が「こどもまんなか社会」を掲げる以上、こどもにとって最善の利益を確保できような夏季期間対策緊急基準の制定とその実現に必要な予算の確保を、弊会は政府に強く求めます。
「あい和学童クラブ運営法人」は、学童保育における子どもたちや職員の安全の確保について種々の意見提言を行っています。学童保育の運営に関して、豊富な実例をもとに、その運営組織や地域に見合った運営の方策についてその設定のお手伝いすることが可能です。
育成支援の質の向上に直結する研修、教育の機会を提供するとともに、個々の学童保育所運営者様へ、安全安心な子どもの居場所づくりとその運営手法において、学童保育組織運営について豊富な経験を持つ代表が、自治体や学童保育運営事業者に講演や具体的な助言、アドバイスを行うことが可能です。
子育て支援と学童保育の運営者の方、そして行政の子育て支援と学童保育担当者の方、ぜひとも子どもたちの安全と安心を守る場所づくりのために、一緒に考えていきましょう。どんなことでも「あい和学童クラブ運営法人」に、ご相談ください。子育て支援の拡充に伴い、今後ますます重要視されていく子どもの居場所づくり事業の充実のため、一緒に取り組んでいきましょう。
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