学童の支援員は何歳までできるのか

 もちろん何歳であっても、できます。ただ、求人に応募できることと、実際に仕事を始めてみて「仕事が問題なくできるかどうか」は、全くの別問題であることを理解しましょう。

 いわゆる学童保育所での仕事は多岐にわたります。学童保育所の中でも、法律に基づく「放課後児童健全育成事業」を行う施設であれば、子どもの「遊び」が重要な事業の1つとなりますから、そこで働く人は子どもと遊ぶことが仕事の1つとなります。子どもの遊びは多種多様ですが、その中でも、体を動かす遊び、例えばドッヂボール、サッカー、鬼ごっこなどは、働く側の体力が備わっていなければ、子どもと一緒に遊ぶことは難しいでしょう。加齢に伴う身体能力の低下は、「けが」につながります。アキレス腱を断裂する、肉離れを起こす、転倒して打撲を負うというけがは、高齢者にはどうしてもその危険性は高まります。80代でも身体的に大丈夫な人がいれば、60代でも身体的能力が遊びについていけない人もいます。個人差はかなり大きいものです。学童で働きたいシニア層、働いているシニア層は、散歩などで体力をつけておきましょう。

 学童で働くことを考えるシニア層は、自分の体力をしっかり把握して、自分のできる能力を包み隠さず事業者に伝えてください。遊びは何も常に体を動かすものばかりではありません。将棋や囲碁、トランプも子どもと遊ぶ時間を共有できます。自分の得意な遊びで、子どもが遊びながら社会性や自主性を身に付けられるような支援、援助を行えるように事業者の指示に従って行動しましょう。

 遊び以外にも、おやつの調理や準備、整理整頓、清掃も大事な仕事です。「私はこういうことが得意」ということは働き始める前にしっかりと伝えておきましょう。なお、一般的にですが、特に高齢の男性に多いのが「短気」です。すぐにカッとなる気質の方は十分に注意してください。あなたが子ども時代に普通に行われていた「言うことを聞かない子どもにはビンタ」というのは絶対にダメです。犯罪です。これもまたシニア層の男性に多いのが、前歴をやたらと振りかざして子どもに接する行動。以前の職歴では部長だ、役員だとそれなりの地位に就いていたかもしれませんが、児童クラブにおいては、子どもと接する職員の1人に過ぎません。あなたの過去の地位に基づく栄光はまったく不要です。それよりも、その地位を得られるために有用だった才能や能力、それは我慢強さだったり調整能力だったり先を見通せる能力だったりするでしょう。それらをぜひ児童クラブで発揮してください。

 雇う側は、高齢者、シニア層を有効な戦力として活用することが必要です。超人手不足時代です。それぞれに得意な分野で能力を発揮してもらうことで、クラブ全体の事業の質を上昇させることを考えましょう。そのためには、能力や担当してもらう業務に応じた時給、賃金の設定が重要です。いわゆるジョブ型の賃金制度です。一律同じ時給ではなく、仕事を受け持ってもらう範囲に応じた賃金設定を考えましょう。

(運営支援による「放課後児童クラブ・学童保育用語の基礎知識」)