「打倒!小1の壁クエスト」第18話。学童保育は、誰にでも優しくあってほしい。

 学童保育運営者をサポートする「あい和学童クラブ運営法人」代表の萩原和也です。子どもの育ちを支える学童保育、保護者の安定した生活を支える学童保育、そして社会を支える学童保育を支援する「学童保育運営支援」の重要性と必要性、学童保育のあらゆる問題の解決を訴えています。

 「打倒!小1の壁」クエストです。主人公は、子どもが学童保育所に新入所して、勢いで保護者会の会長になった勇者夫婦。1年前、学童保育について何も分からないで不安だったころを思い出し、同じような思いをする人が出ないようにと願ってPR行動したところ、またもトラブルに。でも、押し切っちゃいました。

 ~打倒!小1の壁クエスト~第18話:学童保育は、誰にでも優しくあってほしい。

(前回までのあらすじ)入所申請のシーズン。1年前を思い出し、学童保育について分からない新入所の保護者たちへ学童保育所を紹介する動画を作成し、ネットにアップした勇者夫婦。小1の壁への早めの対応を呼び掛けたところ、クレームが本部や市役所に届いたとか。それでも、間違ったことではないと、押し切った勇者夫婦でした。

 お正月も過ぎ、年度末の「お楽しみおやつ会」ことを考え始めた勇者夫婦です。
勇者ママ「学童の先生にも相談して、何かサプライズができるといいと思わない?平日の午後だから、参加できる親は少ないと思うけど、親も参加してちょっとしたイベントができればいいなって」
勇者パパ「それ、いいね。何ができるか分からないけど、歌を歌うとか、お金をかけない方法もあるよね。若先生と相談できるといいな」

 若先生とは、ベテラン職員とコンビを組んでいる相方です。控えめで、あまり保護者とのコミュニケーションが得意ではないようです。キャンプの時も静かに、でも縁の下の力持ちとして頑張っていたので、真面目でいい人なんだろうねと勇者夫婦は思っています。ただ、ベテラン職員の目が光っているのか、勇者夫婦とはあまり積極的な会話はありませんでした。だから、次のイベントをきっかけにしようと、思ったのです。

 とはいえ、ベテラン職員のOKが出ないと始まりません。1月半ば、子どもを迎えに行った勇者パパですが、学童保育所の雰囲気がちょっと変。非常勤の、にぎやかなパートの補助員先生も、口数が少ないのです。室内には、スーツ姿の男性がいました。「はて、見覚えがないけど、保護者さんかな?」と思った勇者パパに、その男性が話しかけてきました。

「会長さんですね、はじめまして。いろいろとご活躍の程はお聞きしております。あ、私は運営本部の萩野(はぎの)と申します。ちょっと先生に用事があって。時間がだいぶかかってしまったんですが。そういえば、先日の動画の件、不快な思いをさせてしまいまして、本部を代表してお詫び申し上げます」

 予想外の展開に「ああ、いえ、その節はこちらもどういたしまして」と勇者パパ。「な、なんだ、なんか今までのこの組織の人とは、一味違う」と興味がわいてきました。
「実は私も、若先生にお話があって、まずはベテランさんにお願いと思っていまして」
「そうでしたか。でもちょっと、今は難しい状況かもしれません。若先生に用事があって私も来たんですが、心理状況が今、ちょっと厳しいようです」
「何か、あったのですか?」と勇者パパ。
「会長さんなのでお伝えします。まだ秘密にしておいてください。先生は年度末で退職します。意志が固くて、届も取り下げないと。その件で今日、私は来たのです。公表は間もなくですが、職員から子どもたちに先に行い、それから保護者さんへ通知します」
驚いた勇者パパですが、「人事情報を知らせていただいたのですが、大丈夫ですか?」と、情報の守秘義務も含めてあえて尋ねてみました。
「ええ、職員の出処進退は、会長には先に伝えてもいいと、以前からこの組織ではそうなっています。私も幹部会メンバーで、私の判断で行える範囲のことですから、問題ありません。ご心配なく。まあ、明日、子どもたちには公表するんですがね」
「あの、とてもまじめでひたむきな先生だと思っています。辞めてしまうのはもったいない。何かあったんですか?」
「理由はさすがに申し上げられません。一身上の都合、というやつです。ただ、会長さんならご想像つくでしょう。学童保育は離職者が非常に多い業界です。その理由の最たるものは、人間関係ですから」と萩野。
「あーなるほど」と思わず口に出た勇者パパdした。「始終、顔を合わせて仕事をしているのが、あのベテランさんだもんなあ」と、事情はすぐに察知したのでした。

「小1の壁について動画で心構えを説いていただいて、とてもよかったと思いますよ。私も、うちらの学童保育所では待機児童を出すべきではないと思っていましてね。その方針をはやく実行したいと思っているところですよ」

 思わぬ萩野の発言にまたまたびっくり。あのわからずやの組織、運営本部に、ちょっとはマシな人材がいるのかと思ったのでした。「仕事をあきらめざるを得ない保護者は出したくないし、留守の家にとぼとぼと帰る低学年は出したくないので。ぜひ早急に、待機児童ゼロに、舵を切ってください」と、勇者パパは告げたのでした。

 帰宅して事の顛末をママに報告した勇者パパ。3月のイベントもなにも、全部、吹っ飛んでしまいました。
「仕方ないよね。だっていなくなっちゃうんだし。退職が決まって気分が軽くなって残りを頑張れるか、その逆に、ふさぎ込んで出勤できなくなってしまうかのどちらかね。多分、あのまじめな性格からすると、休みがちになるんじゃないかな」

 勇者ママの予想はあたり、次の日以降、若先生は途切れ途切れの出勤になってしまいました。

「どこの会社も同じですが、やっぱり人間関係ですか」とハギに話に行った勇者パパです。
「学童保育所は、少人数で、みっちり向き合う濃厚な人間関係だからのう、合わない人とコンビを組んだら、地獄と同じじゃ。複数のクラブを運営していて異動ができれば救う道もあるが、1つのクラブで1法人だと、そうもいかん。どっちかが辞めるしかない。だから学童業界、いつも人手不足じゃんじゃ」
「おかしな話ですよ。子どもにはあれほど、仲良くしなさいとか、優しくしなさいとか、相手の立場に立って行動しなさいとか、いつも言っているのに。職員同士では、そうもいかないってことですね。まあ、大人の人間関係はそんなものかもしれませんがね」
「仕事と割り切って付き合えればいいんじゃが、何せ、子どもの育成支援の方法論の違いから険悪になったり、はてはそもそも子どもの育ちとして目指す地点が違っておる場合も結構多いからの。育成支援の専門性が、まだまだ磨かれきっていないかも、しれんのう」

 「そういえば、本部から来た人に会いましてね。ちょっとはまともそうな人間もいるんですね。待機児童ゼロを目指すんだと言っていましたよ」
「ほほう。そんな人もおるんじゃな。そやつは萩野クンかの?」
「え、ご存じなんですか?」
「いや、風のうわさじゃ」

 せっかくの人材が途中でいなくなるのは損失だよな。職員同士、仕事では緊張感があっても、そうでないときはお互いを優しく思いやれる関係になれればいいのに。それができていないから、学童の子どもたちに見抜かれてしまって、子どもたちの集団もなかなか落ち着かないのではないかと思いながら家に向かった勇者パパでした。

 小1の壁、運営側の方針でどうにでもなるものなのでしょうか。そうであれば、とっとと、上の人たちが覚悟をもってほしいですね。「打倒!小1の壁」のクエスト、いよいよフィナーレが見えてきたようです。

 「あい和学童クラブ運営法人」は、学童保育に関連する多くの問題、小1の壁の問題解決や、保護者の負担感といった学童保育に立ちはだかる多くの問題の解決について、学童保育の運営に関して具体的な実践と経験を積んだ代表が、具体的な解決策を提示することが可能です。

 学童保育の運営についても、育成支援の質の向上に直結する研修、教育の機会を提供するとともに、個々の学童保育所運営者様へ、安全安心な子どもの居場所づくりとその運営手法において、学童保育組織運営について豊富な経験を持つ代表が、自治体や学童保育運営事業者に講演や具体的な助言、アドバイスを行うことが可能です。

 子育て支援と学童保育の運営者の方、そして行政の子育て支援と学童保育担当者の方、ぜひとも子どもたちの安全と安心を守る場所づくりのために、一緒に考えていきましょう。どんなことでも「あい和学童クラブ運営法人」に、ご相談ください。子育て支援の拡充に伴い、今後ますます重要視されていく子どもの居場所づくり事業の充実のため、一緒に取り組んでいきましょう。

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