児童福祉の施設運営者や管理者は、「リーガルマインド」(法的思考力)を備えるべきです。

 学童保育運営者をサポートする「あい和学童クラブ運営法人」代表の萩原和也です。子どもの育ちを支える学童保育、保護者の安定した生活を支える学童保育、そして社会を支える学童保育を支援する「学童保育運営支援」の重要性と必要性を訴えています。学童保育事業の質的向上のためにぜひ、講演、セミナー等をご検討ください。

 仙台市内の児童館で、児童を盗撮したと思われるスマートフォンが職員によって発見されたものの、その後の管理者の対応に失態があり、そのスマホが紛失していたことが明らかになりました。しかも、スマホが発見されその日のうちに紛失したこと、それらの事案が発生してから約1カ月間、行政や警察に報告、通報していなかったことも明らかになりました。これらを受け、仙台市は児童館の運営団体に対し、法令に基づいて改善の指示を出した、とのことです。まさに、信じられない、あぜんとする内容です。

 9月8日19時27分に配信された河北新報の記事を一部、引用します。
「仙台市は8日、宮城野区の児童館で、女子児童の着替えを狙った盗撮があったと発表した。館を指定管理する運営団体は動画が撮影された証拠のスマートフォンを紛失し、事案発生から約1カ月たって市に報告した。盗撮した人物の特定に至っていないといい、通報を受けた仙台東署が事実関係を調べている。」
「市は今月6日、地方自治法と児童福祉法に基づき、管理体制などの改善を団体に指示・命令した。団体は館長と、館長に次ぐ責任者の40代男性主任を別の職員と交代させる方針。」

 また、9月8日18時17分に配信された時事通信社の記事によると、「市によると、7月28日午前10時40分ごろ、着替え部屋に来た児童が見慣れない箱を発見。職員が確認したところ、動画撮影中のスマホが中に入っていたという。報告を受けた児童館の館長はスマホを事務室の机の引き出しの中に保管。しかし、施錠するのを忘れ、同日午後にスマホがなくなっていることに気付いた。運営団体は内部調査後の8月29日まで、警察や市、保護者に対し、盗撮疑惑について報告していなかった。」とあります。

 これらを振り返ると、責任者(館長)と運営団体の双方に、看過できない過失があると指摘できます。

館長に対しては、「盗撮と思われる事案を知ったなら、直ちに関係機関に連絡、通報することが当然だが、それを怠った」ことと、「盗撮事案となれば捜査や立件に極めて重要な証拠品であるスマホを、厳重に管理することなく放置に等しい状況に置いたこと」です。私に言わせれば、「盗撮をした人はこっそり持っていってね」と言わんばかりの、信じがたい館長の行動です。

 運営団体にも重大なミスがあります。「刑事事件化が濃厚な案件を関係機関に連絡、通報しなかったこと」と、「保護者にも連絡をしていなかったこと」です。盗撮の調べは警察が行うものであって運営団体の調査で解明するわけではありません。事件があったら警察へ届け出る、という一般社会の常識が、なぜ守られなかったのか、私はまったく理解に苦しみます。

 館長等が更迭されるようですが、当然です。また、このことが原因で警察の捜査が行き詰ったとしたら、盗撮被害に遭っていたかもしれない子どもの侵害された人権の回復がまったく果たせないことになり、その結果は極めて重大です。私としては、指定管理から団体を外して当然の大失態だと考えます。

 この事案を聞いて思ったのは、以前にも、大阪の児童クラブにて補助金で購入した体温測定用のカメラを勝手にネットで販売していたことと合わせ、「児童服の世界の運営者や責任者は、特に法律関係が重要になる事態についての理解が相当浅く、それが結果として、子どもの権利の保護が不十分になったり組織運営の脆弱さで安定した事業継続を困難にしたりする、というがある。法的思考力、リーガルマインドがまったくといっていいほど根付いていない」ということです。

 法的思考力、リーガルマインドとは、物事の原因とその後の過程、そして結果について、論理的に考えることを指します。また具体的には、刑事や民事に関する法律的な事態に対する具体的な対応について得ている知識や理解を基に、適切な行動を実施できること、を指します。

 今回の仙台市の児童館でいえば、「児童対象の盗撮の可能性がある事態になった。このスマホに録画されている可能性がある」と組織の誰かが認知したら、「これは刑事事件になる可能性がある。よって、この先は警察の分野になる。児童の権利侵害が濃厚であり、業務上での不祥事でもあるので、行政にすぐ連絡をしなければならない」と管理運営者が理解することと、「このスマホは今後、重要な証拠品になる可能性があるので、厳重に管理しなければならない」と管理運営者が理解すること、なのです。
 そして当然、利用している保護者にも直ちに周知し、その時点で判明している事案の概要と、その時点で実施できる再発防止策を速やかに通知、説明して理解を求めることなのです。

 これらのことは、実のところ、法的思考力、リーガルマインドを持ち出すまでもなく実は一般常識の部類に含まれるのですが、一般常識の中でも特に重要ななのが法的思考力でありリーガルマインドなのです。多くの人が利用する公共施設の運営をするのであれば、その責任者は、一般常識は当然のこと、法的思考力、リーガルマインドについて、十分な知識と理解を持っていなければ、その任は果たせないと、私は考えます。

 残念ながら、児童福祉の世界においては、管理責任者になる人の多くは、児童福祉の分野には精通しているがそれ以外の分野にはさほど、という人が多いように私には見受けられます。「子どものことを分かっている人でないと、学童保育や児童館の管理責任者にふさわしくない」という人も、相当数存在しています。

 私に言わせると、まったく見当違いです。児童福祉、子どもの支援や援助の実務について、その意義を理解していることは前提としても、管理責任者(当然、組織団体の経営者も)に必要なのは、一般的な常識であり、それも特に、法的思考力、リーガルマインドを備えることなのです。

 今回、もし児童館の管理責任者がそうした思考を持っていたならば、こんなひどい事態に展開することはなかったでしょう。私に言わせると、この事案でまた、児童福祉の世界の人たちは常識が無い、とても公共的な組織を任せることができないと、行政や世間に認知を広めてしまったのです。

 日本版DBSは、学童保育は義務化対象外です。それはすなわち、届出制による仕組みや有資格者の強制的配置がなされていないということに起因しますが、こども家庭庁の報告書案には、個人の犯罪歴という高度なプライバシー情報を適切に管理できる仕組み、能力が無いという意味の記載がなされています。
 この児童館の失態をみると、私としては大変悔しいのですが、「こ家庁の報告書案の内容が否定できない」という結論を出さざるを得ないのです。

 児童福祉の世界に携わる人、現場職員もそうですが、とりわけ管理運営責任者は、必ず、法的思考力、リーガルマインドを備えてください。それは必須の知識です。そういうことが苦手な人は、今すぐに、管理運営の責任ある立場から退いてください。子どもの権利、人権が、そんな人のもとでは、守れませんから。

 「あい和学童クラブ運営法人」は、学童保育の管理運営にあたって必須の法的思考力、リーガルマインドの重要性を運営組織者に理解させることができます。学童保育の運営のあらゆる場面に関して、豊富な実例をもとに、その運営組織や地域に見合った方策について、その設定のお手伝いすることが可能です。

 育成支援の質の向上に直結する研修、教育の機会を提供するとともに、個々の学童保育所運営者様へ、安全安心な子どもの居場所づくりとその運営手法において、学童保育組織運営について豊富な経験を持つ代表が、自治体や学童保育運営事業者に講演や具体的な助言、アドバイスを行うことが可能です。

 子育て支援と学童保育の運営者の方、そして行政の子育て支援と学童保育担当者の方、ぜひとも子どもたちの安全と安心を守る場所づくりのために、一緒に考えていきましょう。どんなことでも「あい和学童クラブ運営法人」に、ご相談ください。子育て支援の拡充に伴い、今後ますます重要視されていく子どもの居場所づくり事業の充実のため、一緒に取り組んでいきましょう。

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